11時ちょうどにスタートが切られた、FIA世界耐久選手権(WEC)第6戦富士の決勝レース。スタート前には一度雨が上がりかけたものの、まだコース上の水量が多く、さらにはふたたび雨が落ちてきたため、セーフティカー先導でのスタートとなった。

 しかし、1周目に12号車レベリオン・レーシングと88号車アブダビ-プロトン・レーシングの2台がスピン。まだまだレーシングスピードへの加速が可能になるまでには、時間がかかりそうだ。

 セーフティカー先導でのレースは、20分を経過。これ以前から各車がピットに入り、タイヤを交換したり、給油を行ったり、ドライバー交代を行うなどする。戦略が分かれるところだ。28号車G-ドライブ・レーシングはそのピットインの際に速度違反のペナルティを取られてしまう。

 スタートから30分過ぎ、13号車レベリオン・レーシングがコースオフ。右フロントと右リヤにダメージを負ってピットインし、そのままガレージに戻されてしまう。同じ頃、28号車G-ドライブ・レーシングもピットイン。同チームはこのレース2回目のピットインで、燃料を少量給油しただけで、再びコースへと復帰していく。さて、どんな戦略か?

 17周目、先導するセーフティカーに「速度を上げろ!」との指示が。そしてこの周でセーフティカーはピットに戻り、レースがスタートすることが宣言される。

 そして18周目、ついにレースがスタート。しかし、ポルシェの2台は共にすぐにペースを上げることができず、アウディの2台、そしてトヨタの2台にも先行を許してしまう。トップから一気に6番手まで下がってしまった17号車ポルシェ919ハイブリッドのマーク・ウェーバーは、翌19周目の1コーナーで18号車をオーバーテイク。続く20周目には2号車トヨタTS040ハイブリッドを交わして4番手に復帰する。18号車ポルシェ919ハイブリッドも2号車を狙うが、コカ・コーラ・コーナーで両者接触。揃ってスピンを喫する。

 21周目にはマーク・ウェーバーが中嶋一貴の1号車トヨタTS040ハイブリッドに接近。続く22周目に1号車が28号車G-ドライブ・レーシングに詰まったところで、ウェーバーがオーバーテイクを狙うが、なかなか抜けない。その28号車G-ドライブ・レーシングは、セーフティカー先導中にピットに入った際に速度違反を犯し、35秒のストップ&ゴーペナルティが課せられてしまう。

 そして23周目の素晴らしいバトルに、観客は魅せられた。トップスピードに勝る17号車ポルシェ919ハイブリッドが、1コーナーまでに1号車トヨタTS040ハイブリッドの前へ。これで勝負が付いたかと思いきや、中嶋はそう簡単には譲らない。コカ・コーラ・コーナーのインを狙い、中嶋が技ありのオーバーテイク。しかし、続く100Rで少しはらんだ所をウェーバーが見逃さず、ふたたび17号車ポルシェが前へ。これでも両者のバトルは終わらず、次なる舞台は300Rだ。77号車のデンプシー-プロトン・レーシングを挟み、アウトにウェーバー、インに中嶋。そして2台はビックブレーキングのダンロップコーナーへ。ここで勝ったのが中嶋で、1号車がポジションキープ。ウェーバーは18号車にも抜かれて5番手へと再び落ちてしまった。

 なお、この絶品のバトルが行われている間に、92号車ポルシェ・チーム・マンタイが51号車AFコルセを交わしてLM-GTEプロクラス2番手に上がっている。

 少しずつ水量が減っていく路面。こうなると、彼らのトップスピードが活きてくる。そして25周目、メインストレートで18号車ポルシェ919ハイブリッドが1号車トヨタTS040ハイブリッドを交わして3番手に上がる。なおこの間にLMP2クラスのチャンピオンを争う26号車G-ドライブ・レーシングと、47号車KCMGが激しいバトル。47号車がこれを制して、クラス2位へ浮上する。

 トヨタの前に出た18号車ポルシェ919ハイブリッドの次なる標的はアウディの2台。36周目に8号車アウディR18 e-トロン・クアトロをオーバーテイク。1号車トヨタTS040を抜いていた17号車ポルシェ919ハイブリッドも、8号車を交わしてポルシェが2-3体制となる。

 レーススタートから2時間が経過した頃、2号車のトヨタTS040ハイブリッドが周回遅れに。そうこうしている間に、先頭を行く7号車アウディR18 e-トロン・クアトロの後方から、18号車ポルシェ919ハイブリッドが1秒速いペースで、17号車ポルシェ919ハイブリッドが2秒速いペースで迫ってくる。そして71周目、メインストレートで18号車が7号車を交わしてついにトップに立つ。17号車も続いて7号車に襲いかかるが、ウェーバーはなかなかアウディを攻略できない。

 メインストレートの立ち上がりは、ポルシェの方が圧倒的に速い。しかし、ストレート中盤で加速が鈍り、アウディが再接近するという状況……ERSの電池容量なのか、それともスリップストリームの影響なのか? ウェーバーは非常に苦労したが、76周目に7号車アウディR18 e-トロン・クアトロがピットに入ったことで、バトルは終結する。

 このピットインで、7号車はインターミディエイトと思われるスリックタイヤを装着。ドライバーもアンドレ・ロッテラーが乗り込んだ。翌週には8号車アウディR18 e-トロン・クアトロ、続く周回に1号車トヨタTS040ハイブリッドなど、各車が続々と2回目のピットインを行い、インターミディエイトタイヤに履き替えている。

 78周目にピットインした1号車トヨタは、アンソニー・デイビッドソンがピット入り口でホワイトラインカットの反則。これでペナルティが課せられ、せっかく接近していた8号車アウディとの差が、再び広がってしまうことになる。

 94周目にはトヨタの2号車がピットイン。これは、LM-GTEクラスのマシンと接触し、ダメージを負ったためであり、カウルなどを交換した後、コースに返り咲いている。

 そして3時間を経過。ポルシェ18号車が先頭を走り、2回目ピットインまでポジションをキープしていた7号車アウディが2番手。その直後に、17号車ポルシェがハイペースで迫っており、順位逆転は時間の問題だと思われる。トヨタ1号車はここから40秒ほど遅れた位置。ピットストップ時のペナルティが痛かった。

 なおLMP2クラスは26号車のG-ドライブ・レーシングが47号車KCMGに対して15秒程度のリードを築く。LM-GTEプロクラスは51号車AFコルセが、LM-GTEアマクラスは77号車のデンプシー-プロトン・レーシングがトップに立っている。

本日のレースクイーン

今井みほいまいみほ
2025年 / スーパーGT
Pacific JLOC Angels
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by auto sport : Hands in the Fight|0.25mmの戦い

    FORMATION LAP Produced by auto sport : Hands in the Fight|0.25mmの戦い

  • auto sport

    auto sport 2025年7月号 No.1609

    【特集】LE MANS 2025
    “史上最混戦”の俊足耐久プロト頂上決定戦

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円