いよいよ来週月曜日の車検から幕を開ける第77回ル・マン24時間レース。今年もアウディR15 vs プジョー908によるワークス対決が最大の注目となるが、それ以外にも日本のファンにとっては見逃せない話題もある。そのひとつがブノワ・トレルイエの参戦。昨年、“ガソリンクラス"最上位という成績に大きく貢献したトレルイエは、今年ペスカローロ・スポールが走らせるプジョー908のドライバーに抜擢されたのだ。

 もちろんトレルイエにとって、このディーゼルエンジンのマシンを走らせるのは初めてのこと。そのため、ペスカローロ・スポールはル・マンを前に、去る5月25日~26日の間、仏・マニクールでテストを実施。トレルイエも初めてプジョーのステアリングを握った。また同時にワークスの3台もこのテストに参加。ル・マンに向けての最終テストを行ったという。

 天候は25日が晴れ。26日は午後から若干雨がパラついたというものの、おおむね両日ともにドライコンディションでの走行となった。ペスカローロのマシンは、初日は各パーツの慣らしをしていたため、まだ本気モードの走行ではなく、2日目になって本格的な走行に入る。スタッフはプジョーから派遣されたメンバーが半分、残る半分はペスカローロという混成チームだ。トレルイエは、初日の午後と2日目の午前中、ほとんどの時間コクピットに乗り込み、クルマに慣れるための走行を実施。ニュータイヤも2日目には2セット履いて、同様にニュータイヤを使用した3人の中でトップタイムを出している。

 このプジョーのマシンについての印象を、もてぎFNのために帰国したトレルイエに尋ねると、以下のような答えが返ってきた。

「まずシート合わせの時にビックリしたのは、前が何も見えないこと(笑)。設計する人は、まずクルマのパフォーマンスを考えるから、ドライバーの視界がどうかっていうのは、最後なんだなって思ったよ(笑)。でも、この視界だと、タイトな右コーナーがあるサーキットは難しいだろうね。右側が特に見えづらいから」

「乗った印象としては最初、エンジンノイズが聞こえないから、すごく不思議な感じだった。それに低速から高速までの加速がすごく速くて、自分ではそんなに大したスピードは出ていないだろうって思っているのに、ストレートエンドでの最高速がすごいんだ。だから、高速コーナーに飛び込んで行く時も、最初はビックリしたよ。慣れれば平気だったけどね」

「今回のマニクールテストで、僕たちのマシンはル・マン用のギヤレシオを組んでいて、空力もル・マン用のローダウンフォース仕様で走った。一方、ワークスカーは違うセットアップを試していたみたいだから、一概にタイムを比較はできないし、実際のところワークスカーのタイムは聞いていないんだ。でも、彼らの口ぶりからして、どうやらワークスカーと同じようなタイムを出すことはできていたみたいだよ。これでル・マンに対しても充分な自信が持てた」

「ただ、ル・マンで問題になってくるのは、ラップ遅れの処理だろうね。右側の視界が確保できていないっていうこともあるし、他のクラスのマシンとはスピード差が大きい。去年、プジョーにあれほどコース上で問題があったのがなぜだか分かったよ。でも、その点に気をつければ、大丈夫なんじゃないかな? とにかくレースウィークを迎えて、ル・マンのコースをこのマシンで走るのが楽しみでしょうがないよね」。

 この後、フォーミュラ・ニッポンのレースを終えたトレルイエは、6月1日には再びフランスに戻ったが、4日にはサーキットでドライバー交代やピット作業の練習に臨み、5日は、他のペスカローロのドライバーとともに、フィジカルトレーニングを行なっている。一旦、南仏の自宅に戻ったあと、来週月曜日には再びル・マンへ。そして、9日には市内・ジャコバン広場で、恒例の車検に臨む予定となっている。

週刊オートスポーツNo.1208にル・マン24時間直前プレビュー掲載!
アウディR15「すごい空力が見えた」/トレルイエ ル・マン直前インタビュー

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