また船体修復のアプローチも部品交換による廃棄を極力回避し、内装を剥がして再生材として活用することで現代的でモダンな空間に仕上げ、低エネルギーのLEDライト、水消費量の少ないバスルームや備品、さらには地中海から集められたリサイクル・ペットボトルから作られた椅子なども採用。キッチンには水耕栽培システムも備え、調理時に活用されるなどシリーズのロジスティクス・ハブとして新しい生活を始める準備が整えられた。

「この船の特徴で私のお気に入りのひとつは、かつてのスイミングプールに代わって創設された科学研究所だ。開幕の地サウジアラビアからは、さまざまな科学者が海洋研究プロジェクトを実施するため乗船してくれる。彼らと協力できることをうれしく思うよ」

 アガグCEOがそう説明するように、シリーズの創立科学パートナーであるEnel Foundation(エネル財団)との協業で、航海中に船内で気候科学の進歩に関連する研究を行うべく、実験を続けるための研究室を設置。合計14名の科学者によって7つのプロジェクトが進められる計画で、それぞれ海洋研究のさまざまな分野に焦点が当てられ、その詳細は今後数週間で発表される予定となっている。

 このセントヘレナの航海中は50人の乗組員が船上に住み込みで働き、最大175名が眠れる62のキャビン、ふたつのラウンジ、80席のレストラン、100席のエクステリアデッキ、80席のプレゼンテーションエリアに加えて、20フィートの輸送コンテナを90台収容する能力が確保された。

 イギリスを発ったセント・ヘレナ号は、20日間ほどの航海で地中海を経由し、開幕戦の舞台となる4月3~4日の“Desert X Prix”ことサウジアラビアに上陸。その後、地中海を引き返して5月にセネガルへと戻って“Ocean X Prix”を戦い、8月にグリーンランドで“Arctic X Prix”、10月にはブラジルの“Amazon X Prix”、そして12月にパタゴニアで“Glacier X Prix”を転戦する計画となっている。

2月11日に開幕まで50日を迎え、Veloce Racingのジェイミー・チャドウィックは「各地の美しさと地形を体験するだけでなく、地域の気候変動の影響について認識を高め、現地でレースすることにとてもワクワクしている」と語っている
イギリスを発ったセント・ヘレナ号は、20日間ほどの航海で地中海を経由し、開幕戦の舞台となる4月3~4日の”Desert X Prix”ことサウジアラビアに上陸する

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