そのアンドレッティ・ユナイテッドペアは、ファン主導の“GridPlay”投票の勝者としてスタートグリッド選択の優先権が与えられ、ハンセンは順当にインサイド右側を指定すると、中央にクリストファーソン、左サイドにローブと、さながらWorldRXグリッドのような並びでファイナルがスタート。
そこで敗者復活クレイジーレースと同様にロケットスタートを決めたハンセンだったが、大外のアウトサイドからクロスラインを狙ったクリストファーソンが鮮やかなラインで首位奪取に成功する。一方、この週末に複数の陣営で多発したパワーステアリングの問題に悩まされたローブは、残念ながらメカトラブルでペースが上がらず後退。再び30秒近いマージンを得てマシンを受け取ったロズベルグXレーシングのテイラーがトップで2周目へと入っていく。
安定感あるドライビングでギャップをコントロールした元豪州ラリー王者は、2番手で追いすがるERCヨーロッパ・ラリー選手権レディス・トロフィー獲得のマニングスを振り切り、23秒のマージンを保ってフィニッシュへ。記念すべき電動オフロード選手権初の、総合優勝ドライバーに輝いた。
「本当に“ヤバい!”ほど面白く、想像を絶するイベントだったね。この最先端のレースに対し熱心に努力してくれたチーム全体に感謝しているよ」と、現地で喜びを語ったチーム創設者兼CEOのニコ・ロズベルグ。
「僕らのエンジニアやメカニックは、多くの未知数と予測不能な要素が残るこの最初の週末に向け、完璧な準備をして挑んでくれた。モリーとヨハンは驚異的なドライビングを披露し、この厳しい状況で判断を間違えることなく信じられないほどのスピードを見せてくれた」と興奮気味に振り返ったロズベルグ。
「彼らのパフォーマンスは本当に刺激的で、技術的な問題によって引き起こされた60秒のペナルティの後に、こうしてカムバックして勝利を挙げるのは真に価値がある。チャンピオンシップ全体としても、本当に良いスタートになったね」
これでロズベルグXレーシング、X44、そしてアンドレッティ・ユナイテッドのランキングでスタートが切られたエクストリームEの初年度シーズン。各チームのオデッセイ21と機材はすべて、シリーズの“フローティング・パドック”となる元貨客船セント・ヘレナ号に積み戻され、5月29~30日開催の“Ocean X Prix”ことセネガル・ラックローズでの第2戦に向け出航する。