カスタマーモータースポーツ:ニュルブルクリンク参戦の“ベース基地”



「こちらはカスタマーモータースポーツワークショップです」と一貴副会長。取材時はニュルブルクリンクのレースに出場するTGRR(TOYOTA GAZOO ROOKIE Racing)のGRヤリスや、GRスープラGT4の整備作業が行われていた。
コンポジット:不純物排除の『クリーンルーム』も完備



常に広い敷地内をひたすら歩き続けていると、自分がどこにいるか分からなくなる。ここには過去何度か取材で来ているのだが、覚えが悪いのか毎回迷路のように感じる。しかしそれは一貴副会長も同じで「あれ、どこだっけ?」と迷子になりかけることもあるようだ。
そうしてたどりついたのは、コンポジット部門。主にカーボンパーツの製作を担っている。
「カーボンコンポジット・ファブリケーションでは、カーボンシートを切って型に合わせてはり付けていき、それをオートクレーブ(カーボンを成形するための高温高圧窯)で焼き、成形されたものをまた加工します。GR010 HYBRIDはレーシングカーの中ではかなり大きいほうですが、シャシーなど大きなパーツは上下に分けたりします」
ちなみに、カーボンシートを貼り込んでいく過程では不純物が入り込むことを絶対に避けなくてはならず、コンポジットラミネーティングを行う部屋は「クリーンルーム」のようにゴミやチリが入り込まないように工夫されている。作業者は入口で専用の衣服に着替え、スクリーンで区切られた部屋に足を踏み入れる際は、床に敷かれたハエトリ紙のような粘着シートで、靴裏をクリーンにしてから入出するという徹底ぶりである。
電装系システムベンチ:壁一面を使ってGR010の電気系を“再現”



続いては、電気系パーツのチェックを行う、実車電装系システムテストベンチの部屋へ。こちらも、通常はまず公開されない貴重なセクションである。
「クルマの神経ともいえるパーツがここで全部再現されています。ライトパネル、バックモニター、ヘッドライトなどの電気系がきちんと作動しているか、実際にサーキットで走っている状況をバーチャルで再現して、問題がないかチェックします」と一貴副会長。電気系のトラブルを未然に防ぐ、非常に重要な部門であることが理解できた。
社員食堂:一貴副会長が“裏ワザ”披露?




「だいぶ歩きましたし、お昼時になったのでカンティーンに行きましょう」と一貴副会長。待ちに待ったランチの時間だ!
TGR-Eには素敵な社員食堂があり、すでに大勢のスタッフが昼食を楽しんでいた。天気の良い日にはテラス席も大人気だ。
食堂はビュッフェスタイルで、バリエーションも豊か。どのメニューを頼んでも非常に美味しい。日本人シェフもいることから和食も選ぶことができる。一貴副会長はポークカツを注文し、小声でスタッフに何かを追加オーダーしていた。
「トンカツソースです。頼むと出してくれるんです(笑)。よければどうぞ」
~歴代車両が展示されるミュージアム、WECマシンのワークショップなど、見どころ満載の後編(https://www.as-web.jp/sports-car/1244712)へつづく~
