第86回大会の決勝は、直前に開催されていた全仏オープンを制したテニスプレイヤー、ラファエル・ナダルの国旗振動によって16日15時にスタートが切られた。クリアウォーター・レーシングの61号車フェラーリ488 GTEはグリフィンのドライブでクラス3番手に順位を上げ、ル・マンでの初表彰台獲得に向けて幸先の良い出だしを切っていく。

 しかし、そのグリフィンの2スティント目から61号車フェラーリのペースが鈍りだす。原因は予選でダメージを受けて交換したフロントバンパーからフロントスプリッターが外れかかった状態になったことで間に空気が入り込み、前後ダウンフォースのバランスが崩れたほか、バイブレーションが発生するようになったためだ。

 その後61号車フェラーリはグリフィンからオーナードライバーのウェン-サン・モク、さらに澤とバトンをつないでいくが、いずれもペースが伸び悩み徐々に順位を落とすこととなってしまう。

 そのような状況のなか迎えた現地時間17日(日)2時過ぎ、澤は夜間のトリプルスティントを開始すべくコースに入っていく。しかし、スタートから13時間を迎える直前、LM-GTEプロクラスのマシンとの接触を避けるためミュルサンヌでラインを外しスピン。タイヤにフラットスポットを作ってしまった。

 イレギュラーのピットインを余儀なくされた61号車フェラーリだったが、幸いにも車両にはダメージはなく澤はタイヤ交換のみで戦線に復帰。その後、約1時間の走行を担当している。

 クラス6~7番手を争うなかで迎えたレース終盤、レースディレクターから「フロントスプリッターを補修または交換するように」との指示が届く。チームはこれ以上のポジションダウンを避けるため30分近くを要す交換ではなく短時間で対応可能な補修で乗り切ることを決断した。

 チェッカーまで残り2時間、チームは一度マシンをガレージに入れると、わずか4分でスプリッターの補修を完了させ澤をコースに送り出す。クリアウォーター・レーシングはこの時点でトップから3周遅れのクラス8番手となっていたが、澤はこれまでのラップタイムから1~2秒速い3分54~56秒台の好ペースで周回していく。

 このペースは2番手争いをするスプリット・オブ・レースの54号車フェラーリ488 GTEを駆る元F1ドライバー、ジャンカルロ・フィジケラのペースを上回るものだった。

 最終的に61号車フェラーリは332周を走破してクラス8位入賞を果たしWECシリーズランキングでは、ランキング1、2位を独占していたアストンマーチン勢の間に割って入るランキング2番手となっている。

■澤「ル・マンという舞台で最後まで攻め続けられた」

澤圭太とクリアウォーター・レーシングのル・マン挑戦は2018年で3年目を迎えた
澤圭太とクリアウォーター・レーシングのル・マン挑戦は2018年で3年目を迎えた

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