そもそも“GTEプラス”のコンセプトは約1年前、LMP1クラスの後継となる新規定の可能性のひとつとしてメーカーからFIA、ACOに提案されていた。しかし、2018年のル・マンで発表されたように、統括団体はトップカテゴリーにプロトタイプカーをメインとする“ハイパーカー規定”を採択している。

 だが、新規定の発表から約9カ月が経過しても、2020/21年シーズンのトップカテゴリーに挑むと宣言した大手自動車メーカーはトヨタを含めて皆無。これを受けてFIAとACOは今年3月、市販ロードカーベースの車両を受け入れるなどハイパーカー規定の枠組みを広げ、マクラーレンやアストンマーティンを呼び込もうとしたが、やはり手を挙げるメーカーが現れていないのが実情だ。

 そのため2020/21年シーズンにハイパーカー規定でのレースが実現可能なのか、また準備期間について疑問が投げかけられている。

 WECのCEOを務めるジェラルド・ヌーブは先月、“スーパーシーズン”第6戦の舞台となったセブリングでメディアに対し、「仮にこのプラットフォームに関する目標が達成できなかった場合は、代替案が用意されている」と述べた。

 代替案が正確にどのようなものなのか明らかになっていない一方で、ACOはトップクラスのレギュレーションを確定させる期限を2019年5月に設定したようだ。これは新ルールの確定から同規定下で行われる予定の最初のレースまで、16カ月に満たないことを意味する。

■GTEクラスの展開はIMSAに影響を与える可能性

 GTEベースのマシンをWECのトップクラスに参戦させる決断は、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップのGTル・マン(GTLM)クラスに波及効果を及ぼす可能性がある。同クラスでは現在、LM-GTEレギュレーションを採用しているのだ。

 IMSAは2022年の次のレギュレーションサイクルに向けて、プロトタイプベースのトップクラスレギュレーション策定を進めている。いわゆる“DPi 2.0規定”にハイブリッドパワートレインを含む件については最近、組織内部で合意に達したと理解されている。

 このハイブリッドシステムはいかなるアップグレード版GTEプラットフォームにも採用されない可能性が高く、仮にWEC/ル・マンで“GTEプラス”のコンセプトが推進されれば、北米シリーズはクラス体制の大きな変化に直面することになるかもしれない。

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