チームを率いる村田久武代表は「新型コロナへの対策をヨーロッパではすごくやっていて、昨日もACOの人と話しましたが、何がなんでも100年の歴史を途絶えさせないという覚悟、『歴史をつないでいかないと』という気持ちを感じています。観客がいないのは寂しいですが、開催してくれたことには感謝をしないといけません」と語る。
今回トヨタGAZOO Racingでは当然ながらさまざまな感染対策を講じてきている。前述した全員のPCR検査などに加え、サーキットでも例年とは異なるプロトコルが実施されているという。
通常、ヨーロッパのサーキットではパドックに並べたトラックのなかに一堂に会して作業にあたるエンジニアリングスタッフを、「今年は機能と号車に分け、たとえばピット2階のVIPルームだったところにもサポートスタッフが割り振られるなど、いろんな場所に分散して作業しようとしています」と村田代表。
このほかマスク着用はもちろんのこと「メカニックも時差出勤にして、接触する機会をできるだけ減らしている」とのことだ。
そんな村田代表がル・マンに入って一番驚いたのは「暑さ」だという。
「アフリカからヨーロッパへと熱波が流れ込んでいるらしく、34、35度とかになっています。過去、ル・マンは寒いというイメージが強かったので、こんなに暑いのは初めてだなと、若干驚いています」
「昔は夜の気温が下がったときにタイヤで苦労していたのですが、日程が(通常の年と)違っても、意外と気温が高いというのが、大きく(予想と)違うところですかね」
一貴も「予報では夜もそれほど気温が下がらないみたいです。逆に昼間にあまり気温が上がるようだと、一番硬いタイヤの投入も視野に入れなければいけない」と語っていた。
そして村田氏は暑さに加え、週末の天候の不安定さを懸念材料として挙げる。
「土日の天候が相当不順なようで、雨だけでなくサンダーストームの予報もある。スタートは晴れているけど、そのあと雨という話もあり、過去に雨ではクラッシュや巻き添え事故などもありましたので、そこを心配しています」
「いつもは何日かかけて路面が綺麗になって、その後にラバーがのるけど、今年は掃除しながらラバーが乗る、すなわち不安定な路面にしかならないので、そこに雨が降ったら大変かなと思います」
3連覇を目指すトヨタにとって、暑さと不順な天候は味方となるか、敵となるか。注目の走行初日FP1は、現地時間17日木曜10時(日本時間17時)に開始される。