■LMP2:ハプスブルク組リアルチーム41号車が激戦制す
オープニングラップではクラスPPのユナイテッド・オートスポーツ22号車オレカ07・ギブソンのウィル・オーウェンがトップをキープ、リアルチーム・バイ・WRTの41号車が2番手へ浮上する。さらに3番手にはプレマ・オーレン・チーム9号車、4番手にはベクター・スポーツ10号車が上がってくる展開に。9号車のルイ・デレトラズは41号車をパスし、2番手へとポジションアップを果たす。
1時間目に導入された2度のFCYの後、3番手にはシャルル・ミレッシのリシャール・ミル・レーシングチーム1号車が浮上してくる。
開始1時間を前に、プレマ9号車は首位へと浮上する。その後も上位勢は僅差のバトルを続け、2時間経過時点では、再びユナイテッド22号車がトップに。41号車、9号車が1秒以内の差で続く形で中盤戦へと突入すると、41号車のフェルディナンド・ハプスブルクが22号車アルバカーキをパスし、首位に立つ。
その後3時間経過時点では22号車がトップに立つが、その後はトラブルからスローダウンする場面も。JOTA28号車が首位に立ち、34号車、1号車と続く展開となる。
この3番手争いのなかで、1号車のポール・ループ・シャタンに9号車のロバート・クビサが追突。9号車にはドライブスルー・ペナルティが科され、1号車もトラブルからかスローダウンを喫した。
後半戦はタイヤをトリプルスティントさせる作戦を成功させたJOTA38号車が首位に立ち、ベクター・スポーツ10号車、インターユーロポル・コンペティション34号車、リアルチーム41号車ら数台が10秒以内のトップ争いを繰り広げる緊迫の展開に。
残り30分、2番手にポジションを上げた41号車のハプスブルクは、38号車ウィル・スティーブンスに迫ると、2台は同時に最終ピットへ。ここでハプスブルクが首位でピットアウトを果たし、そのままトップチェッカー。ハプスブルク/ルイ・アンドラーデ/ノルマン・ナトが表彰台の頂点に立った。2位にJOTA38号車、3位にベクター・スポーツ10号車が続いている。
■LMGTEプロ:激戦のポルシェvsフェラーリと、まさかのスプラッシュ
オープニングラップではポールスタートのAFコルセ51号車フェラーリ488 GTE Evoが首位をキープ、その背後ではチームメイトの52号車フェラーリがコルベット・レーシングの64号車シボレー・コルベットC8.Rをパスし、AFコルセのワン・ツーとなる。
開始10分過ぎのFCYの際に、首位の51号車はピット作業を行い、他のライバルとシーケンスがずれることになる。ライバル勢も2度目のFCYでピットを終えると、首位51号車の背後にはコルベット64号車、ポルシェ92号車が僅差で続く展開となった。
各車、4輪交換や左側2輪交換などの戦略が分かれるなか、2時間経過時点では52号車が2番手に復帰し、再びフェラーリがワン・ツー体勢を築く。
中盤のセーフティカー導入を挟んでもフェラーリのワン・ツーは崩れなかったが、4時間30分経過を前に首位51号車にはピットイン後にデータの提出がなかったとして、5秒ストップのペナルティが下る。これで51号車は4番手にまで転落してしまった。
残り1時間を切って、3番手を争うポルシェ92号車とフェラーリ51号車が1コーナーへの進入で接触。92号車が3番手を守るが、その後も1コーナー、最終コーナーと何度もバトルが続き、ターン4で接触した2台はそろってエスケープゾーンに逃れる場面も。
残り20分を切り、ケビン・エストーレの92号車にはLMP2車両および51号車との接触における非があるとして、ドライブスルーペナルティが科せられた。
フェラーリ52号車の優勝は確実かと思われたが、なんと残り2分になって燃料スプラッシュのためのピットへ。これにより、コルベット64号車(トミー・ミルナー/ニック・タンディ)がクラス首位を手にする形となり、52号車はまさかの2位。3番手フェラーリ51号車も同時にピットへと向かうが、こちらは3位をキープしている。
■LMGTEアマ:ポールスタートのアイアン・デイムスは2位
LMGTEアマクラスでは、シリーズで女性初のポールポジションを獲得したアイアン・デイムス85号車フェラーリのサラ・ボビーが序盤戦首位をキープ。Dステーション・レーシング777号車アストンマーティン・バンテージAMRの藤井誠暢は、開始30分時点までに3番手へ浮上する、得意のスタートダッシュを見せた。しかし777号車はその後、ピットレーンでのスピード違反によりペナルティを受けている。
さらにDステーション777号車は1時間30分が経過する頃、星野敏のドライブ中にスロー走行でピットへと戻り、修復を行った。
2度目のピットストップを引っ張りトップに立っていたTFスポーツ33号車は、2時間経過を前にしたFCYのタイミングでピット作業を済ませ、周囲のマシンが3回目のピットを行うなか、トップをキープしてコースへと復帰。2番手にアイアン・デイムス85号車、3番手にデンプシー・プロトン・レーシングの77号車ポルシェが続く展開となる。
圧倒的優位を築きつつあった33号車だったが、ピットレーンでのスピード違反により、50秒ストップのペナルティが発出されてしまう。そのペナルティ消化直後、ターン4進入で姿勢を乱したエンリック・シャベスが、マシンが裏返るほどの大クラッシュ。シャベスは自力でマシンから降りている。
4時間30分が経過する頃には、首位の85号車ラヘル・フレイに、77号車のハリー・ティンクネルが迫っていく。残り1時間でFCYが解除されると、ティンクネルが首位を奪った。
残り6分、首位のティンクネルは燃料スプラッシュのためピットへと向かう。30秒ほど後方の85号車とのギャップが注目されたが、ティンクネルはなんとか首位を守り、クリスチャン・リード/セバスチャン・プリオールとともに、クラス優勝を遂げた。
2位にオール女性ドライバーラインアップのアイアン・デイムス85号車、3位にはチーム・プロジェクト1の46号車ポルシェが入った。FCY時の速度違反やトラックリミット違反などで複数回のペナルティを受けたDステーション・レーシングの777号車は、クラス11位に終わっている。


WECの次戦、第5戦は9月9〜11日、日本の富士スピードウェイで行われる。
