自身のテストでのドライブはておき、チームはライバルの増える重要なシーズンを迎えている。
3月11〜12日の公式テスト『プロローグ』、そしてレースウイークの走行初日を終えたチーム全体の状況について、一貴副会長は「順調にテストを進めることができていますし、周りに比べても非常に良いラップタイムで走れています」と語る。
「ただ、今日になってだいぶフェラーリもペースを上げてきていて、ロングランのペースを見ていると非常に油断ならない、かなり近いところにいるのではないかと思うようなパフォーマスを見せてきていますし、キャデラックも安定してタイムシート上位に顔を出しているので、おそらくセブリングのレースは彼らとの戦いになるのではないかなと思います」
一貴副会長はまた、現状ではトヨタ、フェラーリ、キャデラックに匹敵する速さを見せていないポルシェについて、「苦労しているように外からは見えますけど……こればっかりは公式なセッションで走ってみないと、なんとも言えません」と前置きしつつ、次のように印象を語った。
「テストのときに外から見ていると、結構跳ねているというか、バンプでの跳ねが一番大きいように見えるので、なんとなく運転するのに苦労するクルマなのかな、という風には見ていますけど、どうだろう……あれが(持てるパフォーマンスの)全部ではないとは思っています。フェラーリは“プロローグは本気ではなかった”というのを今日見せてくれましたけど、ポルシェはまだそこは出てないですね」
2023年はル・マン100周年という、スポーツカー/耐久レース界にとって特別な年となる。
新たな役割も背負う一貴副会長はセブリングの開幕戦に向け、「ライバルが誰であれ、速さがどうであれ、まずは自分たちの戦いをしっかりとしなければいけないというのが、耐久レースの鉄則だと思いますし、我々もちょっとしたトラブルであるとかミスなんかも(テストで)起こっていないわけではないので、しっかりと僕自身もマネジメントして、チームと一緒に気を引き締めながら開幕戦を戦っていきたい」と話す。
「第4戦ル・マンは100周年の特別なレースになります。我々は周りのメーカーに比べるとテストの数をこなせていない部分もあるので、レースの中で経験を積み重ねていき、今年進化したクルマをしっかり理解して、万全の状態でル・マン24時間を戦って、100周年のトロフィーをしっかりとみなさんと一緒に掲げたいと思います」
これまでにない立場から、どうチームを支えていくのか。『誰もが勝ちたい100周年』イヤーに、チーム内での一貴副会長にかかる期待も大きくなりそうだ。
