2号車キャデラックVシリーズ.Rを駆るアレックス・リンは、ポルティマオでのタイヤ割り当てが、キャデラックをフェラーリに近づけるのに役立ったことを示唆した。
ハイパーカークラスの各車は、6時間レースの予選と決勝で18本のミシュランタイヤを使用できるが、8時間レース(開幕戦の1000マイルレース含む)では26本のタイヤが割り当てられる。
「彼ら(フェラーリ)はニュータイヤでラップタイムを爆発的に向上させることができ、一方僕らはダブルスティントで非常に優れている」とリンは言う。
「6時間レースでは、8時間レースとタイヤの割り当てが異なるので、その面で僕らを(フェラーリに)近づけてくれる」
なお、フェラーリ499Pは、現在から6月のル・マン24時間レースまでの間に、イタリアのモンツァでもう1度、テストを行う予定だという。
ここまでヨーロッパでのテストをしてこなかったチップ・ガナッシ・レーシングは、5月上旬にポルティマオでキャデラックVシリーズ.Rの3日間の耐久テストを行う予定だ。
また、ベクター・スポーツとイソッタ・フラスキーニは、先週の初回テストに続き、5月上旬にティーポ6 LMHコンペティツィオーネの次のテストを行う予定だ。
■2連勝コルベットが「さらに速くなる」?
ベン・キーティングは、33号車シボレーコルベットC8.Rのステアリングを握る2回目のスティントで、トラックリミットのペナルティを受けそうになったため、無理をして走ったことを明らかにした。
「最初のスティントの後半に4回のコースリミットの警告を受けてしまった。それでもあと1スティント、フルに走らなければならないのは分かっていた。レーサーにとってそれは難しいことだが、僕は安定したラップを刻むことができたよ」とキーティング。
レース後の記者会見では、コルベット・レーシングがポルティマオでメインメカニックをひとり欠いていたことが、ニッキー・キャッツバーグから明かされた。
「彼は卓球をしていて、鎖骨を折ったんだ」とオランダ人は言った。
「このことは言っておきたかったんだ。彼はスパで復帰するから、僕らはさらに速くなるだろうね」
■ほとんどトラブルフリーだったグリッケンハウス
ヴァンウォール・バンダーベル680は、ブレーキ故障によってリタイアする前、トルク伝達の制限を2回超えたとして5秒間のストップ&ゴー・ペナルティを科せられた。また、50号車フェラーリ499Pも同様にトルク伝達の限界を超えたが、1回の違反で戒告処分にとどまった。
一方、708号車グリッケンハウス007はトラブルなく走行した。昨年のル・マンで表彰台を獲得して以来、モンツァとセブリングではリタイアを喫していたが、ル・マンに次いでもっとも信頼性を証明する結果を残したことになる。
チーム代表のルカ・チャンセッティは次のように語っている。
「もちろん、競争力を高めるためにはもっとペースを上げなければならない。だが、セブリングの時よりはずっと良かった。正しい方向に進んでいると思う。次のサーキットがもっと我々のクルマに合うといいんだけどね」
グリッケンハウスの唯一の問題は、レース中盤にリヤブレーキの冷却ダクトにマーブルが溜まり、温度が急上昇してしまったため、それを取り除くためにスティントを短くしたことだったと、チャンセッティは付け加えた。
■左右で異なるタイヤスペック選択も
ミシュランは、ポルティマオでハイパーカー・メーカーが異なる戦略をとっていることを確認した。
「いくつかのチームは、左側にミディアム、右側にソフトというように、異なるコンパウンドで走行することに躊躇しなかった」とピエール・アルベスは語った。
「あるチームは、右側のタイヤをダブルスティントにして、給油のたびに左側のタイヤを交換し、また他のチームはミディアムコンパウンドのみを使用して、2回のピットストップごとにタイヤを交換していた」
完走したトップ2メーカーであるトヨタとフェラーリは、レースを通してミシュランの硬めの『ミディアム』コンパウンドを使用したが、トヨタの技術チーフであるパスカル・バセロンは、彼のチームはソフトも使用できたが使用しないことを選択したと述べた。
ミシュランは今シーズン後半にWECのタイヤコンパウンドの呼称を変更する可能性があるものと、Sportscar365は理解している。
彼らは現在、コンパウンドを『ソフトコールド』『ソフトホット』『ミディアム』と名付けている。しかし、ミシュランはこの名称を変更し、ソフト仕様の温度による区別をなくすことを検討していることが知られている。
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次戦、WEC第3戦のスパ・フランコルシャン6時間レースは、ベルギーのスパ・フランコルシャンにて、4月29日(土)に開催される。