「マクラーレンのシミュレーターで10周くらい走ってきました。F1で走ったときのデータもあったし、あとは去年のビデオやチームのデータがあるので、そういったもので準備をしてきました」。バンドーンがこの富士に向けての事前準備について語ったが、このデータを収集して走りに活かすというスタンスについて、バンドーン担当のDOCOMO TEAM DANDELIONの杉崎公俊エンジニアが解説する。

「ヨーロッパのスタンスと日本のスタンスの違いを感じています。ヨーロッパではドライバーも多いので走れる周回が少なく、どんな時も乗ってすぐにタイムを出さないといけない。だからバンドーンも事前に集められるだけデータを集めて、事前に走り方を修得するんです。日本では乗る前にデータというよりも、乗ってからデータを見るし、走れる機会も多いし、周回もたくさん重ねることができる」と杉崎エンジニア。そのスタンスの違いから、実はバンドーンは日本に来た当初、日本スタンスのセッションの進め方に若干、パニックになったこともあったという。杉崎エンジニアが話す。

「日本では乗った後に、アンダー/オーバーをドライバーに聞いてセットアップを進めますが、バンドーンはデータから、どう次のセットアップを進めればいいか考える。エンジニア的な視点なんですよね。だから日本での走り初めは事前のデータも少なくて、その状況でセットアップを聞いても『そんなのわからないよ』という感じでした。でも、彼なりに日本のスタンスを理解して、他のドライバーにも聞いたりして、セットアップを進められるようになりました」

 雨で不規則な変化があったコンディションだったとはいえ、シミュレーターとデータからの走りで、バンドーンは百戦錬磨の国内育ちのドライバーを一網打尽にしてしまった。これが世界トップクラス、F1複数チームから来季のレギュラードライバーとして名が挙がる実力なのか──。明日の決勝はドライコンディションでの戦いになることが確実。明日はニッポン育ち、富士育ちのドライバーたちの意地をなんとか見せてほしい。

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