もちろん、環境の違い、仕事の進め方の違い……というふうに、戸惑うことも多いに違いない。日本で走ってきたドライバーがヨーロッパのシリーズに参戦するときと同じように。
「うん、ストフェルもヨーロッパとは違うって言ってた。違って当然だよね。でも、そこは自分で経験を積んで自分で見極めたいんだ。現時点ではまだ経験がないから、これ以上話すのは時期尚早だと思う。
僕はドライバーだから、勝つために走っている。それがモチベーションだし、最高のパフォーマンスを発揮するために全力を注ぐと約束できる。それが簡単な仕事でないこともわかっている。スーパーフォーミュラは選手権のレベルも高いし、すごく速いドライバーがたくさんいて、みんな経験が豊富だ。そのなかで僕はゼロから出発して、マシンを勉強して、サーキットを学んで、一緒に仕事をするチームの人たちだって僕にとっては新しい。開幕戦までに4日間のテストしかないから時間は限られている。いまの時点ではどんなポジションにつけられるかわからないし、最初は簡単じゃないと思う。
でも、すべての力を注いで努力することだけは確かだ。勝てないかぎり、けっして満足することはできないから――早くそこに到達できるよう、チームと一緒に最大限の力を注いでいきたいと思う」
レッドブル/トロロッソのリザーブドライバーとしてF1チームに帯同するため、17年もベースはヨーロッパに置いて、日本のスーパーフォーミュラを戦う。
「去年も本当に移動が多くて、1年で106回のフライトを経験した。今年もきっと同じ感じだと思う。でも、自分の好きなことに力を注げるんだから、本当に幸福だと感じている。僕は2月7日に21歳になったばかりだけど、今の自分が経験できていることは信じられないくらいだよ。いろんな国に行って、様々な国や文化を知る機会に恵まれて、そこで自分が成長するための努力ができるなんて、本当に幸福以上のことだと思う」
“新人ドライバー”の気持ちは清々しいほど真っ白。あらゆる先入観を遠ざけて、地に足をつけ、素直にベストを誓う姿勢が頼もしい――それは、厳しい育成プログラムを勝ち抜いてきたドライバーの特徴。ガスリ―の2017年がとても楽しみになってきた。
第2回につづく
