■ライバルが踏んできたステップを、ベントレーも踏むために

 2日間に渡って井出、阪口とともにEIcars BENTLEY GT3のステアリングを握ったケインだが、寺本監督によれば「彼に乗ってもらってセットアップもしてきましたが、それなりに良くはなっていくんだけど、ライバルはもっと速い……というところ(苦笑)」とまだまだ取り組まなければいけないものは多い様子だ。このあたりは、欧州車のGT3カーでスーパーGTを戦う難しさが見え隠れする。

「ヨーロッパではスプリントもあるにしろ、やはり耐久がベースで、それに合わせているんです。そのベースをもとに他のメーカーも同様に日本にもってきていますが、スーパーGTはドライバー交代こそあるにしろ、タイヤ交換もするし、ひとりずつのスプリントなんですよね」と長年GT500を含め、スーパーGTを戦ってきた経歴をもつ寺本監督。

「そういったレースに対して、他のメーカーも『こんなパーツが必要だよね』とホモロゲーションを取ったり、対策をしてきている。ただ、ベントレーの場合は今年初めてなので、まだそこには至っていないんです」

 他の多くの欧州メーカーのGT3カーでも、これまでGT300で戦うにあたり、多くの問題点が起きていた。ヨーロッパでは履かない超ハイグリップの専用タイヤをはじめ、ピットでの停止時間が定められていないなかで、迅速にドライバー交代をする工夫といったスーパーGT特有のものもあれば、高温多湿な日本でレースをするにあたり、気温や湿度の問題で本来のパフォーマンスが出せないといった問題は、多くのチームを悩ませてきた。

 現在GT300を戦っている多くのメーカーのGT3カーは“2〜3世代め”にあたり、ヨーロッパのメーカーの車両も日本を含むアジアで販売するための対策が数多く採られている。ただ、ベントレーはこのコンチネンタルGT3が初めてのGT3カーで、そろそろ代替わりが噂されている。

「昔のJGTCの頃のように、パーツを作ってどんどん付けていけるのであればこちらでやっていますが、レギュレーションとしてそれはできないレースですから。まず彼ら(ベントレー/Mスポーツ)に状況を理解してもらおうということですね。他のチームの皆さんが去年、一昨年と踏んできたステップを、我々もこれから踏んでいかなければいけないんだろうな、ということです」と寺本監督。

 今回のベントレーによるエンジニア/ワークスドライバー派遣によって、チームにとってもベントレー/Mスポーツにとっても、得るものは大きかったはずだ。そして、逆に言えばまだまだ伸びしろはあるということ。今季後半戦のEIcars BENTLEY GT3、そして現在開発が噂されているベントレーの新GT3カーへのフィードバックに期待したいところだ。

EIcars BENTLEY GT3
EIcars BENTLEY GT3

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