「1回リセットして、再スタートで残り5周だったら、もしかしたら逃げ切れたかもしれない。でも、あのままGT300の中で走っていたら、わからない。クリアなところを取れていれば、抜きどころも少ないし、そんなにタイムは落ちていなかったからね」
これでKONDO RACINGは昨年の第4戦富士以来となる優勝。これまでの2戦ではGT-Rの強さが目立ち、他の3台が優勝争いを見せている中、フォーラムエンジニアリングはトップ争いに絡めない不本意な展開が続いていた。その中での優勝だけに、近藤監督の喜びもひとしおのようだ。
スタートからチェッカーまで、とにかく展開が目まぐるしく変わり、最後まで緊張感が高いままだったGT500。近藤監督も、今回のGT500のレースを象徴するように、ちらっと本音とも冗談ともつかぬ言葉を漏らした。
「心の中では今年の仕事の半分は終えることができたかな(笑)。でも僕ら、次の富士もあきらめていないし、タイもヨコハマ、GT-Rが得意とするサーキット。だから欲を言えば今シーズン、あと1回、勝ちたい。次もがんばります。でも、その前にちょっと休みます(笑)」
ギャンブル的にタイヤ無交換を狙い、そして前後の動きを読んで戦略を練り、いくつもの決断を行った近藤監督。プレッシャーも心労も、そして喜びも、さぞ、大きいかったことだろう。