ここから一旦はこう着状態となったGT500の車列だが、その静寂を破るかのようにMOTUL AUTECH GT-Rのロニー・クインタレッリが突如、白煙を上げながら18周目の130Rをオーバーラン。右フロントから火花を散らしながらスポンジバリアにクラッシュし、このアクシデントでセーフティカー(SC)が導入される。クインタレッリはマシンを降りてパドックに戻り、テレビ放送のインタビューには「フロントの右タイヤがバーストした。急なトラブルでびっくりしましたが、身体は問題ありません」と答えた。
レース距離約3分の1を迎え、各陣営のピット戦略に差し掛かるタイミングでのアクシデントに加えて、首位au TOM’S LC500中嶋一貴が2番手に築いた3.3秒のマージンはこれで消滅。ホームストレートで隊列を整えたパックは、23周目SCアウトで仕切り直しのリスタートに。
するとトップ勢を除いてNSX-GT勢が大挙してピットへとなだれ込み、ここで迅速な作業を見せたMOTUL NSX-GTがいち早くピットアウト。続く24周目にはトムスが戦略を分け、首位を行く36号車au TOM’Sからピットへ。同じくWAKO’S LC500、ARTA NSX-GTもピットレーンへと続くと、レクサス勢2台はモニター上で38秒5、38秒4とコンマ1秒の停止時間差でピットアウト。
さらに25周目に逆転を期してピットへ向かった37号車KeePerだが、39秒5と前周作業のライバルよりわずかに遅れを取り、コースインしたニック・キャシディは2コーナーでau 関口雄飛に、続く逆バンク手前でWAKO’S大嶋和也にポジションを明け渡してしまう。
しかしKeePerもタイヤのウォームアップが完了し、GT300クラスのバックマーカーも絡み始めると、レクサス同士3台の首位争いが激化。さらにその背後からはARTA野尻智樹も迫ってくる。
すると30周目のシケインで混乱に乗じたKeePerキャシディがWAKO’S大嶋を強引にかわしてリベンジとばかりに2番手へ。さらにau関口に対しても背後で右に左にマシンを降り、ヘアピン立ち上がりで並走するそぶりを見せるなど、激しくプレッシャーを掛けていく。
しかし32周目にはそのワイルドなテンションが祟ったか、KeePerキャシディが130Rでワイドになり再びWAKO’S大嶋を前に出すと、今度は大嶋がau関口に対してテール・トゥ・ノーズで隙を伺っていく。また同じ頃、上位浮上が期待されていたKEIHINは最終コーナーでクラッシュしてしまったようで、ピットロード出口付近のグラベルにマシンを止め、塚越広大はマシンを降りることに。
30周時点で路面温度は37度とほぼ横ばいながら、1分54秒台後半がやっととマシンバランスに苦しむそぶりを見せるau関口に対し、WAKO’S大嶋、KeePerキャシディは1分52秒台と明らかに優勢。そのまま緊張感の高い接近戦が続くなか、今度は5番手を走行していたMOTUL NSX-GTにアクシデントが発生。
