「Q1突破するのがギリギリな状況だと思ったので、午前のフリー走行でフレッド(フレデリック・マコヴィッキ)もあまり乗れていなかったので僕が担当することになりましたけど、本当にギリギリでしたね(苦笑)。今回、僕たちが選んだタイヤは結構、アグレッシブに振ったものですけど、決して博打を打ったわけではなくてそれなりに実績のあるタイヤです。選択は今のところベストだと思っていますし、順調に来ていると思っています。ただ、ロングランの実績がこのコースではないのでレースは未知数な部分がありますけど、明日どうなるのかですね」と平手。
CRAFTSPORTS GT-Rはどうやら軟らかめのタイヤを選択している雰囲気だが、3番手のリアライズコーポレーション ADVAN GT-Rも軟らかめとの噂もあり、レースでのパフォーマンスと何周まで保たせられるのかが勝負の分かれ目となりそうだ。
そして明日の気温次第になるが、タイヤのパフォーマンスとともにこのオートポリスのレースはタイヤのピックアップ(自分のタイヤかすが採れずにタイヤの表面に付着したままでグリップダウンを招く現象)も重要なカギを握る。昨年は予選でホンダNSX勢がトップ3となったがタイヤのピックアップなどでロングランのペースが苦しくなり、逆にロングランのペースがよかったレクサスLC500が決勝でトップ4を独占するという、勢力図入れ替わり現象が起きることになった。
「明日は今のポジション(2番手)でゴールができれば、まずはうれしいですね。レースで伝統的に出るもの(ピックアップの症状)が出ないことを祈っています。雨のレースは嫌ですけど、成績的なものを考えれば雨の方がいろいろ可能性は広がりますね。いずれにしても、このオートポリスと次のSUGOでポイントをきちんと稼ぎたいと思います」と話すのはARTAの伊沢。チームメイトの野尻も同様にレースへの期待と不安を話す。
「去年の決勝はああいう状況(ロングランで低迷)だったので心配ですけど、タイヤも去年から変わっていますし、セットアップも昨年と同じ過ちをしないようにチームで共有して進めてきていますので、去年とは違った結果が出るとは思っています。明日はまずはきちんと表彰台以上で終えられるように、しっかりとポイントを稼ぎたいと思います」と野尻。
予選9番手のWedsSport ADVAN LC500の坂東正敬監督も「このサーキットは本当に難しい。路面がどこまでできるか(ラバーが乗ってグリップが良くなるか)がキモですね」と、天候次第での対応を想定している。
雨の予報もあり、気温の大きな変化も予想され、とにかく予想が難しいGT500の上位争い。予選ポールポジションのKEIHINはそれらの不安を突き抜けた速さを見せているが、明日のコンディション次第でどうなるか。レクサスLC500陣営は昨年同様に決勝で巻き返しに来ることが想定され、ニッサンGT-R陣営も昨年のような不振からの脱却が期待される。
台風15号の進路とその動向のように、明日のレースは難しいシチュエーションになることが予想される。

