そんな柳田がレース前半の加藤の走りを見て「加藤さんは52歳だけど、あの走りはすごく若々しいですよね。いいコンビになっていると思います」と語れば、渡邉エンジニアも「お互いを高めてくれていて、いいコンビネーションが生まれていると思います」と、いま非常にチームの雰囲気はいい。この勝利で、さらにムードは高まっていくはずだ。
そのチームの体制を作り上げた加藤に、高橋オーナーに報告したのかと聞くと「まだなんですよ。高橋さんは『あ〜あ、オレがいなきゃ勝つのか』なんて言うと思いますが(笑)」と笑った。
「でも、高橋さんの思いでロータスの本国を動かして、GTAにかけあってMCをリヤエンジンにして、こうしてエヴォーラMCができあがったからこそだと思うんです。高橋さんからは『ここまでしたんだから結果出せよ』とプレッシャーかけられているので、そのプレッシャーを楽しみながら今年はやりたいなと思いますね」
「それと、高橋さんにいまの状態のエヴォーラに乗せてあげたいです。テストの日だけひょこっと来るかもしれないですね(笑)」
今季、新型コロナウイルスの影響で変則的なスケジュールを強いられているスーパーGT。さらに言えば、公式テストやメーカーテストは雨がらみが多く、各陣営ともデータ不足に悩まされている。そんななか、ドライバーふたりのベテランならではの技と知恵が、こうしてシンティアム・アップル・ロータスを嬉しい勝利に導いた。
ちなみに、次戦鈴鹿では60kgのウエイトハンデを積むことになるが、もともとロータスは鈴鹿が最も得意。「自信はあります。コケたら笑ってください(笑)」と渡邉エンジニア。今後、今季のGT300の中心に躍り出る可能性も十分にありそうだ。
