トヨタは最高速王の座を昨年から今年にかけて堅持しているが、昨年のエンジンは真のパフォーマンスをフルに発揮できていなかったと、TCD(TRD)の佐々木孝博氏はいう。

「じつは冷却系統に不具合を抱えていました。2基目でも冷却系統の不具合を解決するためのパーツが間に合わず、本来のパワーを使い切れませんでした。ですので、今シーズンはターゲット出力の100%で走り切れるように改善しています」

 ターゲット出力の100%とはいっても、予選アタック時のピークパフォーマンスで決勝を走るということではない。持っているエンジンライフを精度よく使い切るために、予選やライバルを追いかけるときはパフォーマンスを上げ、大きく差をつけて先頭を走るときなど、余裕があるときはやや下げるなどしてマネジメントすることで、1基のエンジンを無駄なくきっちり使い切るという考えだ。

 燃費に関しても改善が進められた。そのひとつの手法として、ホンダのようにアンチラグを多用しないのも効果的だが、そうはしなかった。

「たとえばコース上で燃費を3%良くして、その結果給油時間が2秒短くなったとしても、ラップタイムを100分の2、3秒稼いだほうがいいかもしれないし、結局同じだよねという話です。また、GT300が出てきたときのアクセルの踏み直しとかも考えると、ドラビリを犠牲にしたくないという趣旨もありました」

 アンチラグを常用しながら燃費をホンダと同等レベルに向上させるという、かなり難易度の高いチャレンジであるが、開幕2戦を戦ってみて実際はどうだったのだろうか。

「まだ足りているとはいえませんが、オフのあいだに向上させたぶんは効果として発揮できたと思います」と佐々木氏。現時点でのパフォーマンスと燃費のバランスは、いまのところうまくとれているようだ。

 以上のように、3車のエンジンは性能が重なる部分が徐々に増えてきているが、当然2基目についてはライバルに差をつけるための「タマ」をどのメーカーも用意している。再びノーハンデで戦うことになる11月の最終戦富士で、果たして3車の最高速勢力図は変わっているだろうか──。

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