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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.05.25 13:41
更新日: 2022.05.26 13:10

HOPPY team TSUCHIYA 2022スーパーGT第2戦富士 レースレポート

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スーパーGT | HOPPY team TSUCHIYA 2022スーパーGT第2戦富士 レースレポート

HOPPY team TSUCHIYA
レース結果報告書
2022 SUPER GT Rd.2
富士スピードウェイ

■日時 2022年5月3〜4日
■車両名 HOPPY Schatz GR Supra
■場所 富士スピードウェイ
■ゼッケン 25
■監督 土屋武士
■ドライバー 松井孝允/野中誠太
■チーム HOPPY team TSUCHIYA
■リザルト 予選25/決勝11位

450kmをしっかり走るつもりでしたが……
性格の不一致が見つかりました(涙)

 5月3、4日、富士スピードウェイにおいて2022年スーパーGTシリーズ第2戦のレースが開催され、No.25 HOPPY Schatz GR Supraは予選21番手からスタート。HOPPY team TSUCHIYAとしては、全開走行で450kmを完走し、今後のクルマつくりに向けてデータ収集などを行う予定だったが、レース折り返しが近づくなかで2度にわたって赤旗中断という荒れた展開となり、再スタートは切ったものの最終的に最大延長時間を迎える形でチェッカー。58周で戦いを終えている。
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 今年のゴールデンウィークは、3年ぶりに新型コロナ対応の緊急事態宣言もまん延防止等重点措置もなく、行動制限もありませんでした。みなさんにとっては、どんなおやすみでしたか? ホピ子はもちろん、静岡・富士スピードウェイでのスーパーGT第2戦でお仕事をしてました。サーキットでは基本的な感染予防対策をした上で、久々に多くのお客様を迎え入れたことから、予選、決勝日を合わせてなんと7万3千人が来場されたのだとか。両日とも穏やかな天気に恵まれ、なによりでした。

 さて、ワタシはというと、前回の岡山では公式練習を走行中にドライブシャフトが破損して予選の出走を見送ることになりましたが、今回はキチンと強化対策されたものを装着して午前9時からの公式練習に出走しました。いつものように松井孝允くんからコースイン。気温13度、路面温度18度のコンディションでタイヤがどんなパフォーマンスを見せてくれるのかチェックしたり、エンジニアの木野竜之介さんが用意したセットアップを確かめたり、都度ピットインして作業を続けました。

 GT500クラス混走時にはこのセッションでチームベストとなる1分38秒360をマーク、午後からのノックアウト予選ではこのタイムをどれだけ縮めることができるか、さらに作業を煮詰めていく必要がありました。野中誠太くんに交代したのはスタートからおよそ1時間後。GT500クラスとの混走が終わり、GT300クラスの専有走行になってもそのままドライブを続け、最後にアタックシミュレーションを行うと1分38秒543をマーク。26番手でセッションを終えました。

 そうそう、岡山の時点ではなかったものが富士では用意されました! それはエアコンです♪ これから夏になると暑くて厳しいレースが待ち受けているので、もうエアコンなしでは戦うなんてありえないっ! “戦う環境”があってこそ、ですもんね。まず、装備するためにチームのみんなでやったのが、エアコン探しでした。

 おなじみの手法(笑)を使い、ヤフオクでいいのを探し出しましたよ。ということで、ホピ子にマウントされたのは……スズキ・アルトのエアコン! 走行中にスイッチオン! ちゃーんと機能するのを確認できました。これでまたひとつ自作パーツが仲間入りしたことになりますね。岡山の話をしたときに、「ホピ子はオートクチュール仕様」なんてちょっと気取ったことを言っちゃいましたが、どっちかというと“ホームメイド”という言い方がしっくりくる感じでしたね(笑)。ちなみに、エアコンが装着されたため、「ドライバーのクールスーツはありません」と武士監督が言ってましたが、孝允くん、誠太くんは大丈夫なのかなぁ?

2022スーパーGT第2戦富士 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)
2022スーパーGT第2戦富士 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)

 午後からのノックアウト予選に向けて、チームがアタッカーとして送り出したのは、誠太くん。もちろん、スーパーGT初予選担当です。ホピ子はB組で出走。気温は15度、路面温度は22度まで上昇したので、装着したタイヤとうまく合わせられるかどうか気になっていました。一方で誠太くんは「スピードがまだ及ばないから緊張することなくリラックスしてアタックできた」って。でもね、あとから武士監督が教えてくれたけど、「アタックでシフトが落ちなかった」らしい。で、誠太くんが出したタイムは1分37秒434でB組の13番手。残念ながらQ2には進めませんでした。

 予選日を終えた孝允くんは「安心して走れるようになったので、タイムを追いかけよう、成績を出すにはどうしよう? という中でセットアップをいろいろやりました」と言ってましたが、まずはクルマのバランスが取れているのを確認できたそうです。ただ、「タイヤをうまく使う」という課題も見えてきたのだとか。どうやらヨコハマタイヤにおけるGT300規定車両としてのタイヤの使い方、戦い方をしっかり検討していく必要があるようです。

 この先、気候が変わるとタイヤの使い方もしっかり見極めていかないといけないので、大変なミッションに違いないのですが、タイヤを理解してこそいい走りができると思うので、ここはがんばらないといけないですよね。そんななか、武士監督はさらに鋭い観察眼でホピ子とヨコハマタイヤさんの関係性を見抜いていました。そして、今回の富士でわかったのが「タイヤとクルマにおけるそれぞれのキャラクターがうまく合っていない」ことだと言ったのです。

 つまり、性格の不一致があったというのです。「ホピ子は今のヨコハマタイヤにやさしすぎた」とも言ってました。ワタシがタイヤにやさしいってどういうこと? と思ったのですが、当然、チームのみんなはヨコハマタイヤのことをよーく知っているから、当然ワタシとうまくいくようにいろいろやってくれていたはず。だから武士監督にそう言われて、ちょっとショック……。

「GT3車両にも使えるタイヤはロングランには向いていても、予選で一発のタイムを出すような感じではない」そうで、今後は、どうタイヤとワタシを仲良くさせていくかが課題になるようです。「それがわかったことがなによりの収穫」と前向きにとらえてもらい、ホッとしました。「まだホピ子はハイハイしはじめたばかりだから、手がかかるんだよ」と武士監督。GTドライバーとして目下成長中の誠太くんに負けないよう、ホピ子も進化しないと!

2022スーパーGT第2戦富士 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)
2022スーパーGT第2戦富士 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)

 決勝日も、朝から多くのお客様がサーキットに見えていました。富士山もとってもきれいに見えたし、エアレースデモンストレーションフライトもあって、テンションが上がる上がる! それにレース距離が450kmと通常の1.5倍なので、チームのみんながいろいろトライして、これからの戦いにつなげていきたいとすごく意気込んでいたんです。ワタシも全開でたくさん周回できる! と楽しみでした。

 それにいつものレースであれば、ピットインをしてドライバー交代、給油、そしてタイヤ交換という作業をするのだけれど、今大会は義務付けられた最低2回のピットインにおいて、都度ドライバー交代しなければならないという決まりがなかったのです。ピットインしても給油やタイヤ交換だけでOKだったり、ドライバー交代と給油だけでタイヤ無交換でもOKなど、今まで以上に多くの戦略を立てることができたんです。チームとしては、若い誠太くんにできるだけたくさん周回してもらい、経験値を上げてもらおうという思いでレースを迎えましたが、ワタシとしては、孝允くんにも全開スピードで走ってもらい、たくさんフィードバックしてもらえるとうれしいなって思ってました。

 午後2時、気温20度、路面温度は35度まで上昇するなか、フォーメーションラップが始まりました。スタートドライバーは誠太くんです。クリアスタートを切って周回を重ねましたが、はやくもピットインをするチームもいてビックリ! 戦略の違いでその後のレース展開も違うようになるのでしょうが、今回チームが誠太くんに託したのは、刻々と状況が変わるなかでしっかりと走ることだったので、できるだけ長く周回を重ねました。まぁ、サクサクとポジションアップ……ということは考えてなかったし、第一、タイヤとワタシとの“相性の問題”もあったので、とにかく粛々と周回する、ということを念頭に走っていました。

 結局のところ、誠太くんがピットに初めて戻ってきたのは45周を終えてからでした。この時点ですでに多くのGT300車両は1回目のピットインを終えており、また、コースではセーフティカーが走っていたのです。実のところ、これより前にヘアピンで一台のGT300車両が挙動を乱してコースアウト、クラッシュというアクシデントがありまして。すぐにフルコースイエロー(FCY)が宣言されたのですが、修復作業に時間がかかるからとセーフティカー(SC)ランに切り替わりました。

 ところが、タイヤバリアの損傷が大きく、修理するのが難しいとのことでレースは一旦赤旗中断になったのです。午後4時1分のことでした。先頭車両は49周を走っているところ、GT300の46周目でした。ちなみにホピ子はこのSCラン中にピット作業が可能になったので、ピットインしてタイヤ交換だけしたのです。コースには復帰できたんですが、その後、赤旗中断になったというわけです。なんでもスーパーGTでの赤旗中断は、2019年第1戦岡山以来とのこと。このときはひどい雨でレースが中断、そのままレースを終えたそうです。

 コース上の修復作業にメドが立ち、レースは午後4時25分に再開。とはいえまだSCが先導しており、レーシングスピードでのリスタートは午後4時33分。一方でチームでは2度目の作業を行うため、誠太くんがピットに戻りました。今度は孝允くんと交代し、給油も行いました。アウトラップを経て、2周目にはレース中のチームベストタイムとなる1分39秒047をマークした孝允くん。終盤に向けてどんどん追い上げを見せようと全開走行! ところが、コース上では再びまさかのアクシデントが起こってしまったのです。

 メインストレート上ではトラブルによりスロー走行中のGT300車両が1台、その背後からはげしくトップ争いをしていたGT500車両の3台が縦一列になって走っていました。そして3台の先頭車両がGT300車両を避けてるために走行ラインを変え、背後にいた2番手のGT500車両は突如として現れたこの車両をかわそうとステアリングを切ったようですが、クルマをコントロールすることが難しく、グランドスタンド側のガードレールに激しく衝突。その後も回転しながらガードレールに何度もぶつかり、ようやく停止しました。もちろん、レースは即座に赤旗が提示され、中断に。午後4時43分のことでした。

 幸いドライバーが自力でクルマを降り、命に別状ないことがわかって本当に安堵しましたが、誰もが言葉を失う大きな事故だったことに違いはありません。この状況下でレースは再開に向けての準備中というアナウンスがあり、ガードレースの修復作業などが進められました。

 もともと今回のレースでは、給油を伴う2回のピットストップが義務付けられていたのですが、この長い中断を経て給油回数の義務が撤廃され、午後6時10分にレースが再開。そしてSC先導のまま3周を走ると、レースは最大延長時間の午後6時20分を迎えることとなり、チェッカーが出されました。これで長いレースがようやく終わったのです。今回、チームとしては11位という結果を手にしたけれど、正直なところレースらしいレースができたという感じもなく、モヤモヤした気持ちを残したままサーキットを後にしました。

 一方、チームは第3戦鈴鹿に向けて、もちろんやるべきことは山積状態です。まずは、タイヤとワタシの“性格の不一致”をどうすべきか、チームのみんながこれからいろいろ知恵を絞って対策をするそうです。タイヤに“寄り添う”のがいいのか、”ツンデレ”がいいのか、ワタシもどう振る舞っていいかわからないので、いろいろ試すのがいいだろうって思っています。富士から成長した姿を鈴鹿でお見せできるよう引き続きがんばりますので、応援お願いしますね!

2022スーパーGT第2戦富士 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)
2022スーパーGT第2戦富士 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)

■レースを終えて
松井孝允選手のコメント

「スタートドライバーの野中選手が引っ張る予定だったので、その中でどのくらい上のポジションにいけるか……と思っていました。最近のレースは荒れる展開が多いので、それにあやかってと思っていたのですが……。結果として今回の順位は実力で獲れたものではないと思います。結果として良かったのは事実ですが、実力が足りないことをすごく痛感したレースでもありました。クルマとしてはバランスが取れてきているものの、タイヤをうまく使うというところは現状厳しいということがわかったので、見直す部分も見えてきました」

「野中選手に予選アタックを担当してもらい、全開走行してもらったのは今回のポジティブなことでした。タイヤに慣れてもらうことが一番だったので、タイムはあまり気にしていませんでした。現状としては、クルマをタイヤに合わせていかないといけないですね。鈴鹿でもしっかりとデータを取ってクルマ作りを進めていきたいと思います。なお、決勝での事故が起こってしまったに関しては、解決策を見つけていく必要があると感じました」

野中誠太選手のコメント

「今回は全開走行ができたので、都度エンジニアさんと松井さんとともに大幅にセット変更をして、常に違う状態のクルマに乗っているような感じでした。とにかくいろんなデータを取ろうというスタイルでやる中で予選を迎えたという感じです。その中でセッティングもしっかりと方向性が見えてきたと思います。また、予選ではタイヤの温め方、アタックのやり方という部分で自分の力は出せたと思います」

「一方で、コース上のアクシデントではドライバーさんが怪我なく無事で良かったと思いました。改めてこういう(危険を伴う)ものだと認知することにもなりました。今年、荒れる展開が多いので今後も引き締めていかないとと思いました」

「今回、タイヤがうまく使えていないということが明確になったので、次の鈴鹿に向けて、まずしっかりとタイヤにグリップを起こさせるようなクルマ作りをしようということになりました。僕としてはタイヤの使い方がまだ今ひとつ理解できていない部分もあったので、エンジニアさんや松井さんともっとコミュニケーションを取ってレベルを上げていきたいと思います」

土屋武士監督のコメント

「開幕の岡山からしっかりと対策を行い、ようやく全開走行が始まりました。これからがレースの戦いの始まりです。まだまだやるべきことが満載ですが、若いスタッフたちが一生懸命これからホピ子とともに成長していくと思います。その過程を温かく、時には厳しく見守って頂ければと思います」

「今回のレースでは大きなアクシデントがありました。観客の皆さまやファンの皆さまにとってもショックな出来事だったと思います。モータースポーツは危険が伴うことは今も昔も変わりませんが、マシンやサーキット設備の安全性が高まっていることで、重大なことにならずに済んでいることは本当に先人たちの経験が生きていると感じます。今回のアクシデントで誰にも重大なことがなかったのは神さまからの贈り物だと感じています。また、同時に警笛だとも」

「この経験を未来に活かし、ファンの皆さまが感動できるいいレースをお届けできるように、関係者が一つになって考え、行動していくことが必要だと感じています。またレースを愛するみんなで、いいレースだったね! と言えるようなレースを目指して、これからも精進していく所存です。また応援頂ければ幸いです。今後ともよろしくお願い致します」


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