現行モデルの最大のトピックは、ターボエンジンへ切り替えたこと。先代(ZC32S)までは1.6リッター自然吸気直列4気筒DOHCエンジンを搭載し、爽快で上質さを求める演出をしていたが、現行型はそれとは決別。
力強い走りに磨きをかけるために、1.4リッター直列4気筒DOHCターボ(KC14C型)ブースタージェットエンジンを搭載。最高出力より最大トルクの増大を主軸に置いたエンジンで、スイフトスポーツ史上最強の最高出力140馬力、最大トルク23.4kgmというスペックを叩き出している。
サスペンション形式や米モンロー製のショックアブソーバーなどはこれまで通り。トランスミッションは6速MTと6速ATが用意されている。
今回はクルマ好きを唸らせる6速MT車の試乗レポートをお届けしよう。
■小さくても攻める走りを味わえる本命の6速MT車
さっそくスイフト・スポーツに乗り込み、まずは一般道へ。このクルマは、アクセルを踏み込んだ瞬間から、湧き上がるトルクでクルマ全体に血が巡っている感覚を味わえる。『これぞ、スイスポだ』と自然に笑顔があふれる。

ターボになったからと言って加速のターボラグは感じず、自然吸気エンジンのようにスムーズな走り出しをみせる。また、トルクが大きくなったため、1速の状態でも力強く加速していくので、マニュアル初心者でも発進に苦労はしないはずだ。スポーツモデルによくありがちな足回りの硬さに起因する不快な突き上げもないため、普段使いでも不便を感じることはないだろう。
加速もパワフルで、高速道路での合流もスムーズに行えた。車体は70kgの軽量化が施されたが、走行中にふわふわした感覚はなく、高速安定性は良好。道路の継ぎ目や段差の乗り越えシーンでもストレスを感じず、安心感の高い走りを体感できた。後席乗員からは、高速域での静粛性に不満も出たが、これはこのクラスにおいては許容範囲といえるだろう。
峠道では、クイックで切れ味のあるステアリングのおかげで、クルマの挙動性もつかみやすく、軽い車体と高性能タイヤも相まって気持ちよくコーナーを曲がれた。やや右寄りに感じるペダルレイアウトを除けば、どこまで攻められるかと挑戦したくなる感覚を味わえる。
