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国内レース他 ニュース

投稿日: 2019.07.11 18:26
更新日: 2019.07.11 23:32

フィギュアスケーター無良崇人、86/BRZデビュー2戦目は予選通過ならず

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国内レース他 | フィギュアスケーター無良崇人、86/BRZデビュー2戦目は予選通過ならず

 予選後、四輪脱輪のペナルティの件でコントロールセンターに呼び出しを受け、予選不通過とのダブルパンチで少々落ち込み気味だった無良のもとへ小河諒がやってきた。

 今年は3クラスで行われている86/BRZ Raceの最高峰、プロフェッショナルクラスで活躍する小河は1991年4月生まれで、91年2月生まれの無良とはわずか2カ月違いの同い年(学年は無良がひとつ上)。2013、14年にポルシェ・カレラカップでチャンピオンを獲得し、15年は全日本F3選手権Nのチャンピオン、16年にはスーパー耐久ST-4クラスのチャンピオンを獲得するなど、レースの世界では無良の大先輩だ。

「四脱(四輪脱輪のペナルティ)は攻めた結果だから、ぜんぜん気にしなくていいんじゃないですか? ただ、僕が無良さんにもうちょっと頑張ってほしいなと思ったのは、水曜日の練習の段階で(セクターごとの)ベストをまとめれば(2分)10秒台に入っていたのに、コンディションはあのとき(水曜の走行時)よりも今日のほうが悪くない状態で(2分)11秒4しか出なかったのがもったいない」

「セクター1とセクター3はずっと自己ベストを刻みながらきたのに、セクター2のタイムだけが最後までずっと変わらなかった。おそらくタイムを出したいっていう気持ちが先行して(コーナーの)入口ばっかり頑張っちゃって、そこでアンダー出して出口が苦しくなるってパターンだと思うんですよ。タイムが出ないときこそ、本当はブレーキングポイントを手前にしなきゃいけなくて……そこだけ今後気を付けてほしい」と今の無良に必要とされる忌憚ない意見をぶつけていた。

 小河は、織戸学が主宰するMAX ORIDO Racingの“富士スピードウェイPARKトレーニング”でも無良の運転するクルマに同乗しドライビングコーチを務めたという。

 同日に自分のレースがある忙しいなかでも、こうして無良のタイムを気にかけ、ねぎらいの言葉よりも、あえて苦言を呈してくれる存在は、異なる世界から飛び込んできたばかりの無良にとって何よりも心強いはずだ。

予選後、パドックの無良のテントまでアドバイスをしに来てくれた小河諒選手

 予選を終えた無良は、小河の指摘のように「セクター2だけがタイムアップしてない状況で、実際にはもうちょっと攻めることができたなあ。突っ込む方向でタイムを削ろうとする意識が強すぎたのかもしれない」と反省。「クルマの向きを変えてからアクセルを早く開けていくっていう走り方をイメージしてもっと練習していきたい」と、感覚を忘れないうちにすぐにでもコースに飛び出していきたいような様子だった。

 無良も「練習を重ねるうちに徐々に良くなっているなと感じる反面、もっとやれたという思いも強い」、「練習したことをしっかりと予選の場の短時間で出せるようにしなければ……一発でタイムを出すという部分に関して、自分はまだ力不足なのかもしれない」と今後の課題を見つけたようだ。

「前回のSUGOを完走で終えて、今回のレースはすごく楽しみだったのでは?」との問いに対し、「レース前のドキドキする感じは、やっぱりフィギュアスケートの現役時代を思い出す。ひさしぶりにあの感覚が甦ってきました」と無良。  

「順位は別として完走することの達成感は、ゴルフでうまくいったときの快感みたいにクセになりますね。逆にできないことに対しても、『なんでこうなっちゃうんだろう?』って原因を追究して、ひとつずつ克服していくのが面白い。フィギュアスケート時代も毎日そんな繰り返しでした」

「その延長線上にあるものと、また違う部分と……採点競技とはまた違う、時計との闘いという部分。新しい世界はめちゃくちゃ新鮮です」

「いい感じで最終コーナーを立ち上がってメインストレートを走っているときは、『もうちょっと前に出ろ、もうちょっと前に出ろ』って思いながら走っています」と素敵な笑顔を見せた。

「レース前のドキドキする感じ、完走することの達成感はクセになる」と語る無良

 現在、無良は全国各地を巡るアイスショー“浅田真央サンクスツアー”に出演中。今シーズンの残りのラウンドは日程的に継続参戦が困難なため、今回の富士で活動は一旦終了となる。

インタビューの最後に、せっかく身に着けた感覚を錆びつかせないよう、今後もできる限りサーキット走行やシミュレーターで腕を磨き続けることを約束してくれた。来シーズン、無良は必ずサーキットに帰ってくる。

日曜日にはチームスタッフと一緒に自分が出場するはずだったレースを観戦
偶然のいたずらか運命的な巡り合わせか? かつて、故小河等選手もつけていたTOM’Sのカーナンバー36を駆る無良に、息子の小河諒がアドバイスを送る姿はオールドファンにとっては胸が熱くなる
幅広いファンに支持される無良。スケートファンのみならず積極的にサーキットまで足を運んでくれた“提督さん”たちの心意気もありがたい
くま吉も応援に駆けつけてくれた
7月13、14日には無良が出演するアイスショー“浅田真央サンクスツアー”滋賀公演が控えており、20日には昨年7月に凶刃に倒れ非業の死を遂げたソチオリンピックの銅メダリスト、デニス・テンさんの追悼アイスショー「Denis’ Friends」に出演するため真央さんらとともにカザフスタンに駆け付ける
今シーズンのレース活動はこれで終了となるが、無良は来年も必ずサーキットに戻ってくると約束してくれた

◆無良崇人(むら たかひと)

1991年2月11日、千葉県生まれ、28歳。2014年、四大陸選手権優勝。全日本フィギュアスケート選手権には、05~17年まで13年連続出場(3位5回)。日本代表として世界選手権に3回出場。ISU GPシリーズ、12年エリック・ボンパール杯優勝。14年スケートカナダ優勝。18年3月、現役引退を発表しプロフィギュアスケーターに転身。現在はアイスショー出演やフィギュアスケート解説者として活躍中。今年5月にTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race第3戦スポーツランドSUGOでレーシングドライバーとしての一歩を踏み出した。昨夏の「艦これ 鎮守府“氷”祭りin幕張特設泊地-氷上の観艦式-」に出演以降、“無良提督”の愛称でも親しまれている。


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