また、ホンダとルノーは、まだフェラーリやメルセデスのような「セミHCCIシステム」(HCCI=Homogeneous Charge Compression Ignition「予混合圧縮着火」)を採用していないと見られ、パワーと燃費の両面で劣る最大の理由も、おそらくそこにある。このため2台のマクラーレンが100kgの燃料でレース距離を走り切るには、ドライバーが意識的に燃料をセーブしなければならない。しかも常に100kgの燃料を積んでスタートする必要があり、場合によっては数kg軽い状態でスタートできるライバルのほうが、レース序盤を早いペースで走れるのだ。

 ホンダは来月のカナダGPでエンジンのアップデートを行うようだ。しかし、これにはコンプレッサーをVバンクの外に出すレイアウト変更は含まれず、エンジン本体(ICE)の燃焼技術だけを改良した、現行レイアウトのアップデート版になるという。したがって弱点の根本的な解決にはならないものの、燃費の悪さというハンデキャップを軽減するための大きなステップにはなるだろう。

分析:マクラーレン・ホンダ

 シャシーについては、ピーター・プロドロモウ率いる空力デザインで頻繁にアップデートを投入してきた結果、ディテールのレベルはメルセデス、レッドブル、フェラーリに近づいてきたと考えてもよさそうだ。

 プレシーズンテストが始まった時点でのMP4-31は、基本的にはMP4-30の発展型だったが、テスト終盤に新しい空力パッケージが投入されて開幕戦に向けた仕様になった。そのときの開発の焦点は、やはりフロントウイングに置かれていた。マクラーレンが昨年から取り入れているレーキ角の強いセットアップの場合、フロントウイングによってクルマ全体が空力的に「機能する」かどうかが決まるからだ。

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