ヒュルケンベルグはメディア嫌いなドライバーとして有名で、この質問によって確実に嫌われてしまったと思いつつ、日曜日のグリッド上でヒュルケンベルグと再会した。どういうわけか、ヒュルケンベルグはこちらを見て微笑んだ。雨が降り出したからだ。

 じつは件の会見で、筆者はその後「これまでで最も表彰台に近かったレースは何か?」と尋ねた。ヒュルケンベルグの答えは「昨年のモナコと2012年のブラジル」だと、こちらも即答した。それくらい悔しいレースだったのだろう。じつはこの2つのレースはともに雨がらみのレースだった。

 ヒュルケンベルグが昨年まで所属していたフォース・インディアでタイヤ&ビークルサイエンス部門シニアエンジニアとして活躍している松崎淳は、ヒュルケンベルグの長所として「予選の速さとウエットコンディション時の巧みなアクセルワーク」を挙げていた。

 抜きどころがないシンガポールGPで、7番手からスタートするヒュルケンベルグにとって、スタート直前に落ちてきた雨は、恵みの雨だったというわけだ。

 予想通りレースはスタートから荒れ、その混乱に乗じてヒュルケンベルグは3番手まで浮上。ヒュルケンベルグにとって、理想的な展開となった。しかし、ピットストップの際にポジションを落とすと、最後はエンジンのオイル漏れによってリタイアを余儀なくされた。

2017年F1第14戦シンガポールGP ニコ・ヒュルケンベルグは荒れた展開で上位を走るも無念のリタイア

 この瞬間、ヒュルケンベルグは表彰台未登壇出走記録で、単独最多となる『129』を樹立した。それでも、ヒュルケンベルグがシートを失うという声は聞こえてこない。それは裏返せば、表彰台に立てなくても、実力はしっかりと評価されているという証左。2週間後の日本GPはヒュルケンベルグにとって相性のいいサーキット。記録を気にせず、思い切り鈴鹿を疾走してほしい。

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