つまり今年のモナコGPは、ぶっつけ本番でウエットタイヤを履いてレースをスタートすることになっていたのだ。そのため、ウエットからインターミディエイトへタイヤを交換する「クロスオーバー」のタイミングは、どのチームも予測しづらかった。3位表彰台を獲得したフォース・インディアの松崎淳タイヤ&ビークルサイエンス部門シニアエンジニアも「手堅い作戦を採りました」と、未知数のウエットタイヤで引っ張るのは危険だと考えていた。
ハミルトンの作戦はギャンブルだったが、結果的に当たったというわけだ。
もうひとつの疑問は、なぜ30周くらいしかもたないと考えられていたウルトラソフトで、ハミルトンは47周も走ることができたのか。
この点に関して、イゾラは次のように説明する。
「私が30周前後と言ったのは、デグラデーションを考えてウルトラソフトからスーパーソフトにスイッチするタイミングのことで、摩耗的には50周ぐらい走ることができる」