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F1 ニュース

投稿日: 2016.07.23 16:00
更新日: 2016.07.23 16:08

今宮純の金曜インプレッション:最速の王者は勝てない? ハンガロリンクの“伝説”

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F1 | 今宮純の金曜インプレッション:最速の王者は勝てない? ハンガロリンクの“伝説”

 水を得た魚のようにハミルトンはFP1、得意のセクター2を泳ぎまわっていた。ハイになり、どんどん踏みこむリズム。上空からの映像でラインが映し出され、オンボードカメラには透きとおったエキゾーストノートが響く。

 好事魔多し。そのセクター2、11コーナーでやりすぎた。失礼かもしれないがオーバー・リズムでラインが狂い、手前の白い縁石を、ほんの何センチか踏み入ったように僕は感じた。FP2まだ5周目、自己ベストでセクター1を通過、その直後の落とし穴。巧くエスケープに逃げたと一瞬思ったが、真横からタイヤバリアをヒット。森脇さんの目は正確に、サスペンション破損を言い当てた。もし違う角度でクラッシュしていたら、ノーズ破損程度でおさまったか……。

 現場からピットまで、なんとか自走して戻ったハミルトン、しかしメディカルセンターで診断を要する事故は見た目以上にインパクトがあった。彼はスーパーソフトタイヤも試せず、ロングラン・チェックもできず、FP2を棒に振った。

 イギリスGPでは、ロズベルグがFP2をウォーターリークのせいで走れずに終わった。彼は直後にハンデはないと言ったが、そうではなかった。興味本位ではなく、ハンガロリンクで5回ポールポジション奪取、4勝しているハミルトンは土曜から、どう巻き返しに転じるのか。絶頂気分からクラッシュし、初日ハンガロリンクでの主演をつとめた彼の一挙手一投足プレーは、いかにもスターらしかった。

 余談になるが、ハンガリーGPを制する者は王者になれない──。なったのは12年前、2004年のミハエル・シューマッハーまでさかのぼる。そんな“伝説”を持つハンガロリンクは、いまや「クラシック・グランプリ」のひとつだ。7月のヨーロッパ・ラウンド4戦はノスタルジックで、熱かったF1を想起させてくれる。レッドブルがメルセデスの一角を崩せるかどうか。意外にもポール・トゥ・ウイン率は50%以下という“伝説”も刻まれている。


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