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F1 ニュース

投稿日: 2018.03.22 14:15
更新日: 2018.03.23 08:59

【小松礼雄のF1本音コラム】台風の目となりそうな3年目のハース。小松チーフが見た勢力図

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F1 | 【小松礼雄のF1本音コラム】台風の目となりそうな3年目のハース。小松チーフが見た勢力図

 今年に向けてのチーム体制もずっと強化を続けています。だけど、新しいスタッフが入っても、その人が能力を発揮してチームがその恩恵を受けるまでにはどうしても時間がかかります。2016年にチームを始めて、2016年の後半にビークルパフォーマンスグループのスタッフを雇い始めて、その第一段階のリクルートが2017年の中盤に終わりました。そしてやっと今年のクルマにその人達によって開発されたパーツを入れることができたんです。そのパーツがハースF1の歴史で初めて、イギリスのバンバリーのファクトリーで生まれた開発パーツになりました。

 今年はシミュレーターももっと使おうと思っているので、それ専門のスタッフも雇いました。実際、バルセロナのテストの翌週もシミュレーターをやっています。内容はバルセロナのテストの総括と、メルボルン、バーレーン、中国に向けた準備をしていますが、そういうことも去年のこの週ではできなかったですから、進歩です。

 去年までは人も道具もいなかったので、メルボルンに行くこの1週間前はとにかくファクトリーでテストのデータを見たり、ラップタイムシミュレーションを使ったりしてメルボルンの準備をしていましたが、今はそれと並行してシミュレーターでもやることができているので、そういう意味でも前進出来ています。
 
 また今年は日本のタイヤメーカーに勤めていた方にも、ハースに入ってもらえました。去年はタイヤ面で苦しんでいたので、去年の中盤からシンガポールあたりで探していて、ありがたいことに良い人が見つかりました。タイヤというのはとにかく、「生もの」といか、データに現れないことの影響が多いんです。もちろんデータもありますけど、それは断片的なもので、情報量も少ないです。そうなった時に経験値がとても重要になってきます。

 たとえば20年間タイヤを見てきているような、専門家には表面を見ただけで状態が把握できますが、僕が同じタイヤの表面を見るのと、タイヤ専門のスタッフが見るのとでは、得られる情報は雲泥の差があります。タイヤの表面を見たときに、僕もある程度、機能してるかしていないはわかるけれども、100%はわからないですからね。

 そこでたとえば、8割の自信があるとするじゃないですか。それでも2割の不安は残るわけですよね。不安が残るということは、一応他のことも見なきゃいけない。タイヤが原因ではなかった場合の2割の可能性をカバーしなきゃいけないんです。

 そうするとサスペンションをチェックしたり、エアロをチェックしなきゃいけない。でも、タイヤの専門家の人が見て「コレは100%機能してます・していません」ということになったら、もう、すぐに自信をもって次に進めるわけです。この効率の部分はすごく大きいですね。特にウチみたいな小さなチームでリソースがほとんどないチームには、すごく重要です。

 今季のライバルチームの印象ですが、マクラーレンは結構速いと思いますし、1番のライバルは僕の古巣(ルノーF1)だと思っています。今の段階ではウチのほうがちょっと速いと思いますが、ほぼ差は無いと思っています。マクラーレンとルノーは資金力もありますので1年間開発を続けられる。今年はウチも開発を続ける予定ですが、ルノーはやはり速くなっています。この集団の後ろにウイリアムズやフォースインディアがいる印象です。そしてその後がトロロッソ、そしてザウバー。

 オーストラリアでの目標ですが、ここまで話して怒られるかもしれないけど、まずはレース完走するのが一番大切だと思っています。今年のウチのクルマは速いので、完走さえすれば絶対ポイントが穫れると思っていますので、とにかく完走しなきゃいけない。

 クラッシュしないでモノが壊れないで、とにかく普通にレーススタートして普通にオペレーションして普通にピットストップができれば、どう考えてもポイントは穫れるはずですので、とにかく一番フォーカスしているところは完走です。この「普通」にやるっていうのが当たり前にできるようになればチームが成長した証しです。

 冒頭で書きましたが、ハース3年目の今年は勝負の年です。去年の3月からクルマを開発しているお陰もあり、クルマはよくなってきている。とにかく今年は結果を出さないといけないですね。今年の結果で今後のハースのゆくえが決まるとさえ僕は思っています。将来のスポンサーとか将来もっといい人材を雇ってくるとか、大きくすればいいってもんじゃないですけど、会社、チームとして次のステップに行くためにも結果を出さないといけない。

 もう“新チーム“ではないので、今年成績が上がらなかったら「なにやってんの?」ということになります。個人的には選手権の位置というより、ウチのベンチマークはフェラーリなので、フェラーリとのギャップを昨年比で半分にしたい。バルセロナテストではこれが可能なことは確認できたので、あとはやるだけです。

※第2回目以降はF1速報有料サイトでお楽しみください。


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