しかしレッドブル上層部は、チーム力の引き上げにはアロンソのような超一流ドライバーの加入が不可欠と考え、同年秋にマルコ博士が直々にマドリッドまで赴き、ホテルの一室でマネジャーのルイス・ガルシア・アバドと極秘会談を持った。しかし交渉は最初から、かなり難航した。

「アロンソ自身も取り巻きも、はっきり言ってかなり高飛車だった。年俸の高さもさることながら、パフォーマンス条項や関連商品の展開などで主導権を握りたがったんだ」

 そこでマルコ博士はアバドに、「意向はよくわかった。ではそちらの要求を盛り込んだ契約書の原案を、送ってくれないか。それをじっくり検討して、改めて話し合おう」と伝えてオーストリアに戻った。

「われわれは1週間の猶予を、アロンソ側に与えたんだ。ところが2週間経っても、何の音沙汰もなかった。さらに数週間待ったが、完全無視だったよ。それで私はアバドに、こう言った。『もういい。この話はなかったことにしよう』とね」。

 アロンソは最終的に2008年のルノー復帰を決めたが、05年、06年にタイトル連覇した頃の戦闘力はチームになく、2010年にフェラーリへ移籍することになった。

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