Q:2019年はホンダ勢の活躍が目立ちましたが、ホンダの活躍に関係なく、今年印象的だったレースを教えてください。
尾張:ホンダ勢の結果に関係なく、とはいえホンダが復調してくれたから後半戦が面白くなったのは事実。ベストレースは第20戦ブラジルGPです。ホンダが復調して、フェルスタッペンが活躍したことを象徴した優勝でもありましたし、本田宗一郎の誕生日、アイルトン・セナの没後25年という話題もありました。
その一方で『何やってんだ!』というのを象徴するようなフェラーリの同士討ちもありましたよね。エンターテイメント性、ストーリー性、いろいろな要素が凝縮されたレースでした。
決勝レースではセーフティカーが2回入りましたが、同じ戦略では勝てないからと、フェルスタッペンとルイス・ハミルトン(メルセデス)が逆の戦略を採りました。こういう点もおもしろかったのではないでしょうか。

もうひとつ挙げるとすれば、第12戦ハンガリーGPもいいレースだったと思います。ハンガリーではレッドブルが負けてしまいましたが、タイヤ選択の判断(レース後半にハミルトンが2度目のピットインを行い、新品のミディアムタイヤに交換)は見応えがありました。
レッドブルの戦略が間違っているという意見もありましたが、間違いではありません。あのレースは詰将棋のようなレースで、どちらにもミスはなかった。レッドブルは予選ではわずかに速かったけど、レースペースではメルセデスの方が1本も2本も上手だったというレースです。
逆にちょっとがっかりしたレースは、第17戦日本GPです。もちろんグランプリにケチをつけるわけではありませんが、スタート直後のフェルスタッペンとシャルル・ルクレール(フェラーリ)の接触はよくなかった。単独チームが逃げ切ったらおもしろくないですし、他のチームが優勝争いに加わった方がいいのに、加わるべき2チーム同士が絡んでしまいました。レース前はそれほど悪い結果にはならないだろうと思っていたので残念でした。
