2回目のバルセロナテストの時点でもうメルボルンへ行くべきではないとみんな考えていました。でも行くと決まったら、もちろんみんな行きます。とはいえ、パドックには大勢の人がいるし(すでに新型コロナウイルスが猛威をふるっていたイタリアからの人達も含め)、新型コロナウイルスに感染する人が出る可能性が高いというのは想定内のはずです。

 それなのに何の策もなくて、どうして陽性の人が出てから議論を始めたのか、理解できません。結局はみんな自分で責任を取ってイベントを取りやめにしたくないから、他に責任をなすりつけているのだと思いますが、F1という世界的なスポーツとしてあまりにも誠意に欠けた対応に終始した感があります。

 そもそもオーストラリアに行くというのが間違っていますが、行くと決めたなら何通りかの想定されるケースを吟味して、事前に対策を決めておくべきです。

 その一方で、陽性者が出てから短時間で声明を出したマクラーレンは感染者が出たら撤退すると事前に決めていたのではないのかと思います。当たり前のことを普通にしていました。

 金曜の朝もネットでは非公式ながらもいろいろと情報が出ているのに、F1自体は何も発表しないから、ほとんどの観客の人はゲートまで来て初めて中に入れないと聞いたのではないでしょうか。みんなゲートまで楽しみに歩いて行ったのに、突然ゲートで入れてもらえないことを知るのだと思うと……。本当に彼らは観客のことを何も考えていないんだなと思います。チケット代を返金すればいいってもんじゃないですからね。

 今思えば、昨年の日本GPで台風に見舞われた時と同じですよね。同時期に開催していたラグビーW杯では、台風が直撃する数日前にきちんと試合取りやめを発表していたのに、F1は最後の最後まで何をするのか決めなかった。金曜日の朝の時点でも、FP3と予選の両方ができなかった場合はどうするのかというのを発表していませんでした。すべて後手に回っていたと思います。

 好き嫌いは別として、バーニー・エクレストン(元F1最高経営責任者)がいた時はわけのわからないこともたくさんありましたが、彼はリーダーでしたし、昨年亡くなったチャーリー・ホワイティング(F1レースディレクター)もそうでした。ふたりとも世間的には必ずしも良い人には見えなかったかもしれないけれど、肝が据わっているし自分の責任で判断を下していました。

 それが今は誰も責任を取らないし、そんな状況でよく世界的な興行ができるなと思います。とにかく、メルボルンに来たF1ファンの方々には申し訳ない思いでした。

ロマン・グロージャン(ハース)
2020年F1開幕戦オーストラリアGP ロマン・グロージャン(ハース)

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