上述のとおり今回はピレリが特に硬めのタイヤを持ち込んできたので、レースではハードタイヤを使えるかどうかというのがひとつ疑問でした。FP1で走ったところ、ハードはグリップが出るのに少々周回を要するものの、いったんグリップが出ればそれほど悪くないタイヤで、逆にソフトはあまり良いところがないことがわかりました。

 うちは後方からのスタートなので、最初からソフトタイヤでスタートする選択肢を除外して、ロマンは最も妥当なミディアム-ハードの1ストップ。レース中に何かが起こった場合に2台のクルマのどちらかが対処出来るようにするために、ケビンはタイヤの順番を逆にしたハード-ミディアムの1ストップを選びました。

 実際には雨も降らず、セーフティーカーや赤旗も出なかったので、残念ながら戦略の違いを活かして前に出ることはできませんでした。ほぼ全ドライバーが1ストップで走りきれるレースの場合は、予選順位をレースで大きく挽回するのは難しいのです。タイヤが硬かったのでレースは基本的に1ストップでしたが、もう1段階柔らかいタイヤを持ち込んでいたらもっとおもしろくなったかもしれないと思います。

 それに加えて日曜日は風が強かったので厳しかったですね。風が強くなることは事前にわかっていましたし、それはどのクルマにとっても同じなので言い訳にはなりませんが、やはり今年のクルマはとにかく影響を受けやすいです。今年は直せないのでなんとかやるしかありません。来年のクルマでこのあたりを改善しなければと思っています。

ロマン・グロージャン(ハース)
2020年F1第12戦ポルトガルGP ロマン・グロージャン(ハース)

 最後に新型コロナウイルスの状況ですが、ヨーロッパでの状況、そしてパドックでの状況は悪くなってきています。ウチもポルトガルGPのレース直後に、土曜日に検査を受けたひとりが陽性となりました。その人はすぐに隔離され、また彼と同じレンタカーに乗っていた人たちも隔離されました。

 彼はもちろんイモラに行けず、現在もポルトガルのホテルで14日間の隔離をしています。ウチは今までひとりも感染者がいなかったのですが、時間の問題と思っていたので「とうとう来たな」という感じです。

 パドッククラブのお客さんは来ていたようですが、パドック自体には入れないので、F1で働いている人たちは一般の方々とは接触しないように分けられています。サーキット内では比較的安全だと思いますが、ロンドンの空港などはあまりしっかりと隔離されていないのである程度のリスクがあると思います。現在、イタリアのボローニャに向かう飛行機のなかでこれを書いていますが、ガラガラです。なんとか安全に残りのシーズンを終えれるよういっそう気を付けていきたいと思います。

ロマン・グロージャン&小松礼雄エンジニアリングディレクター(ハース)
2020年F1第12戦ポルトガルGP ロマン・グロージャン&小松礼雄エンジニアリングディレクター(ハース)
ケビン・マグヌッセン(ハース)
2020年F1第12戦ポルトガルGP ケビン・マグヌッセン(ハース)

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