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F1 ニュース

投稿日: 2020.10.30 12:38
更新日: 2020.10.30 12:48

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第14回】ドライバー離脱に感じた責任。チーム再建には新たな取り組みが必要に

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F1 | 【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第14回】ドライバー離脱に感じた責任。チーム再建には新たな取り組みが必要に

 2020年シーズンで5年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。第12戦ポルトガルGPの開催直前には、ロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセンが今シーズンを最後にチームを去ることが発表された。4シーズンを戦ってきたふたりの離脱に、小松エンジニアは何を思うのか。そして初開催のアルガルベではタイヤ、風、トラックリミットと様々な要素が影響したなかで、ハースはどう戦ったのだろうか。小松エンジニアが現場の事情をお届けします。

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2020年F1第12戦ポルトガルGP

#8 ロマン・グロージャン 予選18番手/決勝17位
#20 ケビン・マグヌッセン 予選19番手/決勝16位

 ポルトガルGP開催直前に、ロマンとケビンが今年限りでチームを離れることが発表されました。ロマンとはチーム設立初年度から、そしてケビンは2年目からずっと一緒にやってきたので、思うところはいろいろとあります。

 2016年から2018年にかけて、ほぼ順調にチームは成績を上げてきましたが、2019年シーズン途中の開発で方向を誤ってしまいレースでタイヤを上手く使えなくなってしまいました。これが今年の開発にも大きく影響し、予算面でも厳しくなりました。

 それに加えて新型コロナウイルスのパンデミックでさらに財政面が厳しくなって、今年のクルマはシーズン中のアップデートもキャンセルしなければいけなくなり、人材の流失もありました。これらはすべてクルマの性能、レース結果に直接影響し、12レースを終えた現時点で3ポイントしか獲れていません。

 ここからチームを建て直していかなければならないのですが、そのためには今までとは違ったアプローチが必要です。まずは資金を確保して人を雇わないといけないし、今までストップしていた開発のプログラムも再開させなければいけません。ここに投資しない限り、速いクルマは作れないのです。

 もちろんお金があるからといって成功するとは限りません。しかし逆に、ある程度の資金は絶対条件で、それがない限りはまったく勝負にならない。ですからロマンとケビンとは契約を更新することができなかったんです。

 これには、個人的に非常に責任を感じています。もし去年、開発を誤らずに2018年に続いて良い結果を出せていれば、彼らのドライバーとしての評価ももっと上がっていたかもしれません。少なくとも今年のチームの資金状況は、天と地の差でした。

 もちろん彼らもドライバーとしていろいろミスも犯しましたが、チームもミスを犯したわけです。それが結果的に彼らのF1ドライバーとしてのキャリアを終わらせることに繋がってしまい責任を感じています。

 ギュンター(・シュタイナー/チーム代表)がふたりに決定を伝えた後に、彼らと話しました。このような状況にも関わらず、本音で良い話しができました。彼らが来年どのカテゴリーに乗るかはわかりませんが、ぜひ勝てる可能性のある体制でレースをしてくれたら嬉しいです。

 来年のドライバーについてはいろいろと噂が流れていますが、現時点で僕がここに書けることはありません。近いうちに発表の予定です。

ロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセン(ハース)
ロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセン(ハース)

■次のページへ:レイアウトがおもしろいアルガルベ。予選ではトラブルにより戦略変更


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