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F1 ニュース

投稿日: 2020.12.26 15:00
更新日: 2020.12.26 16:16

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第19回】2020年は「予想以上に苦しい1年」組織づくりを継続、新体制を樹立へ

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F1 | 【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第19回】2020年は「予想以上に苦しい1年」組織づくりを継続、新体制を樹立へ

 2020年シーズンを振り返ると、予想以上に苦しい1年でした。かなり早い段階でクルマの弱点は見えていたのですが、7月にシーズンが開幕する前の時点で、ギュンター(シュタイナー/チーム代表)がチームの財政状況を考慮して今季はアップグレードをしないということを決めていました。

 第4戦と第5戦はシルバーストンでの連戦でしたが、実はこの2戦は風向きがまったく逆で、チームにとっては非常に有効なデータを集めることができました。そのデータからクルマの短所が浮き彫りになりました。これは予定されていたアップデートを投入すればある程度は改善できる部分だったのですが、残念ながらアップデートはお蔵入りになってしまいました。

 シーズン中の開発ができないことでフラストレーションも溜まりましたし、またPUの競争力も劣る状態で、そこに新型コロナウイルスのパンデミックが追い打ちをかけました。チームには色々な立場の人がいますが、パンデミックのせいで将来が不透明になり、精神的にもチャレンジングな年だったと思います。

 そんななかでも今季のベストレースを選ぶとしたら、第3戦ハンガリーGPです。ペナルティを科されましたがポイントを獲ることができたので、フォーメーションラップでのピットインは正しい判断だったと思います。あとは第11戦アイフェルGPもよかったですね。

ケビン・マグヌッセン(ハース)
2020年F1第3戦ハンガリーGP ケビン・マグヌッセン(ハース)
ロマン・グロージャン(ハース)
2020年F1第11戦アイフェルGP ロマン・グロージャン(ハース)

 2021年に向けた一番大きな課題は、チームの組織づくりです。2016年終盤辺りから指摘していた組織の問題が、去年の開発失敗という大きな問題を経ても根本的に変わらず、さらにパンデミックもあって組織を変えられないままここまできたので、とにかく新しい組織にして、それを機能させないといけません。

 まだまだではありますが、イギリスのバンブリーの方はかなり改善されてきています。でも根本的な問題は、イギリス・イタリア・アメリカの3カ国にある様々な部署間での連携がきちんとできていないことです。特にイタリアにある部署にいくつか問題がありましたが、1月からは体制がガラッと変わります。また、この前発表があった通りシモーネ・レスタが加入したので、ずっと必要としていたテクニカルディレクターとしてこの辺りをまとめてくれることになります。

 2022年に新しいレギュレーションが導入されますが、この時までに新しい体制をきちんと機能させていることが目標です。シモーネを加えた新体制は2021年1月4日から始動しますが、これから詰めていくことはたくさんあります。4月くらいまでにはきちんと組織が機能していないと2022年の開発には間に合わないので、しっかりやっていきたいです。

 日本のみなさんにとっても今年は大変な年だったと思います。そのようななかで、もしF1が17戦の選手権を観せられたことで明るい話題を提供できたなら幸いです。来年に向けてもまだまだ不安定な部分が多いですが、こんな時こそなんとかみんなで力をあわせてやっていきたいですよね。今シーズン1年間ありがとうございました。みなさまがどうぞ健康で良い年を迎えられることを願っています。2021年が希望の年になりますように!

ロマン・グロージャン(ハース)
2020年F1第10戦ロシアGP ロマン・グロージャン(ハース)
2020年F1第10戦ロシアGP ケビン・マグヌッセン(ハース)
小松礼雄(ハース エンジニアリングディレクター)
2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP 小松礼雄(ハース エンジニアリングディレクター)


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