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F1 ニュース

投稿日: 2021.01.14 12:30
更新日: 2021.01.14 12:28

正解は1年後──2021年、ハミルトンの8冠を脅かすレッドブル・ホンダの影【F1ジャーナリスト対談/後編】

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F1 | 正解は1年後──2021年、ハミルトンの8冠を脅かすレッドブル・ホンダの影【F1ジャーナリスト対談/後編】

尾張:ここまで、いろいろと2021年を占ってもらいましたが、残りあとわずかです。ずばりハミルトンが今年8度目のタイトルを獲る可能性は何%でしょう?

ブルナー:マシンが2020年と大きく変更できないことを考えれば、2021年のタイトル争いもおのずと2020年と同じような展開になると予想される。ただ気をつけなければならないのは、レッドブル・ホンダがメルセデスとのギャップを確実に詰めていることだ。したがって、2020年のような楽勝にはならないだろう。メルセデスがタイトルを獲得する可能性はずばり50%だと思う。

クルタ:2020年とレギュレーションがそれほど変わらないので、私はハミルトンが連覇する可能性は80%ぐらいあると思っている。 ただし我らがバルテリもバージョンアップして“ボッタスIII(スリー)”になって戦いに挑んでくると思うので、ハミルトンも2020年までのようには行かないだろう。それでもバルテリがチャンピオンになる可能性は10%というのが正直なところだな。

バスコンセロス:私は、2021年マシンは2020年にタイトルを獲得したレギュレーションに基づいて作られていることを考えれば、ハミルトンが勝つ可能性は90%だと思っている。さらにシーズンが長くなれば、ボッタスよりも優位に立つことは間違いなく、8回目のタイトルを獲得したいというモチベーション的にもボッタスを上回ると思っているから、連覇の可能性は高いだろう。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第17戦アブダビGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

尾張:では最後に、レッドブル・ホンダがタイトルを獲る可能性はどれくらいでしょうか?

ブルナー:メルセデスと同様50%の確率だと思う。2021年はホンダにとってF1最終年。おそらく持てる力をすべて発揮し、積極的な戦いをしてくるはずだ。レッドブルも2020年に空力に関してさまざまなことを学び、フェルスタッペンも大きく成長した。 チャンスはある。

バスコンセロス:残念ながら、私はハミルトン以外がチャンピオンになる可能性は、残りの10%ぐらいだと考えている。しかも、これをレッドブル・ホンダはボッタスと共有しなければならない。 たしかにホンダは2020年よりも強力なパワーユニットを投入してくるだろうが、車体はメルセデスほどサーキットに対する順応性が高くない。

バスコンセロス:しかも、レッドブルの車体はフェルスタッペン用にデザインされているため、フェルスタッペンがうまく行かないサーキットではもう1台も苦労することになる。レッドブルのマシンは卵がたくさん入ったバスケットのようなもので、バスケットを落としてしまうとすべての卵が割れてしまうという危うさがあるんだ。過去4年間ハミルトンが手にすることができたような最高のマシンを手に入れるまで、フェルスタッペンはもう少し待たなければならないだろう。

クルタ:2020年よりは良い成績を残すと思っている。第1にフェルスタッペンにはそのポテンシャルがある。第2にホンダが確実に前進していること。そして、第3の要因としてはペレスが加入したことだ。これにより今年のフェルスタッペンは相当プッシュできるようになるはず。それでもチャンピオンになる可能性としてはやはり10%というのがいいところだと思う。

尾張:コロナ禍により、限られた時間と取材活動のなかで、予想するのは簡単ではなかったと思いますが、ご協力ありがとうございました。みなさんは私と同じように2020年は現場での取材ができず、2021年もまだどうなるか分からない状況だと思います、まずは、一日も早く、新型コロナが収束し、心の底からレースを楽しめる日が訪れることを願うばかりです。また会う日まで、みなさんも健康にはくれぐれもお気をつけください!

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ルイス・バスコンセロス(Luis Vasconcelos)

F1取材歷500戦を超える重鎮ジャーナリストで、日本のレースにも精通しているポルトガル人。フォーミュラプレスの主宰も務めている。オートスポーツのほかにF1速報や東京中日スポーツにも寄稿している。

マティアス・ブルナー(Mathias Brunner)

 モータースポーツサイト『Speedweek.com』のリポーターとして、主にF1を取材。510戦を現場取材してきた。スイスのチューリッヒ郊外在住のベテランジャーナリスト。500冊以上のレース関係書籍のコレクションが自慢。好きなグランプリは、3つのM(モナコ、モントリオール、モンツァ)

ヘイキ・クルタ(Heikki Kulta)

F1ジャーナリストのなかでも数少ないフィンランド人。ミカ・ハッキネンやキミ・ライコネン、近年ではバルテリ・ボッタスなどフィンランド人ドライバーをメインに取材している。なかでも『番記者』を務めるほど、ライコネンとは親交が深い。

尾張正博(Masahiro Owari)

F1速報誌「GPX」の編集長を務めたのち、2002年からフリーランスでF1全戦取材してきた日本人ジャーナリスト。F1速報やオートスポーツ、東京中日新聞などにも寄稿している。

※注釈:この対談は年末年始に個別に取材した内容を、ジャーナリストの了解を得て対談形式にしたものです。


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