──レース終盤のレインへの交換の遅れは、チーム側があれほど降ると予想してなかったからですか?
本橋CE:そうですね。もともと軽いにわか雨という予報だったこともあって、このままスリックで行けると踏んだ。ここは1周が長いこともあって、走っている間にあっという間に状況が悪化して、そのためわずか1分ほどの判断の遅れが、大きなダメージになってしまいました。レース後ミーティングでも、戦略的な詰め、ドライバーとのコミュニケーションをいっそう重ねる重要性などを改めて確認しました。
──ドライバーからはもちろん逐次状況変化の報告はあったと思いますが、レースでの降雨は特にターン5から局地的に降り出して、他はまだドライでした。そこはドライバー、エンジニア双方にとって、なかなか見極めが難しかった?
本橋CE:ターン5で最初に雨を感じて、でもその次の周回ぐらいまでは、まだスリックで大丈夫という感じでしたね。それが急速に雨脚が強くなりました。
──逆に言えばキミ・ライコネン(アルファロメオ)など2、3台は、非常に早い段階でレインに変えていました。そちらの方が、逆に驚きですね。
本橋CE:確実に判断できるラップからすると、2周とまでは言わないにしても確実に1周は早かったですね。そこは予報の精度が我々より高かったのか、あるいは一か八か賭けた部分もあったのかもしれません。
──角田裕毅選手もかなり早いタイミングでピットに飛び込んで、お、いいぞと思ったらソフトでした。
本橋CE:ええ。ちょうど2セット目のタイヤが、そろそろ厳しくなっていたタイミングでもありました。入れた時は、まだスリックで行けるという見通しでした。というかスリックで走り通すことに賭けたということです。そしてその後の1分で、急激に天候が悪化していった。しかしそこで他チームがどうしていたかを見て、自分たちの戦略につなげることもできていたかもしれない。上に行くチームはそこがさすがに凄いなと思った次第です。
──角田選手は序盤からグレイニングに苦しんでました。週末を通しても、セッティングの煮詰めがうまく進まなかったのでしょうか?
本橋CE:そうですね。マシンバランスをうまくまとめきれていなかった。そのなかでもなんとか乗ってくれていたのですが、タイヤへの負荷は厳しかった。スタート直後に順位を落としたことでトラフィックにハマるダブルパンチもあって、タイヤがいっそう厳しくなってしまいました。
