アジアン・ル・マン・シリーズ第2戦セパン3時間の決勝レースが、11月8日にセパン・インターナショナル・サーキット(マレーシア)で行われ、中野信治がドライブする8号車レース・パフォーマンス(オレカ03R・ジャッド)が優勝。開幕戦富士ラウンドに続き、今季のアジアン・ル・マン2連勝を果たした。

 開幕戦に参戦、優勝に貢献した中野信治。当初は富士戦のみの契約だった。しかし再びチームから声がかかり、中野曰く「急遽の参戦だった」という。中野がセパン・インターナショナル・サーキットを走るのは、2004年のJGTC(全日本GT選手権)以来11年ぶり。セパンは非常に高温になり、体力的にも非常に厳しいサーキットだが、中野は「普段トレーニングをしてますし、暑いのは得意ですから。屋根もありませんしね」と涼しい顔だ。

 開幕戦のLMP2クラスは、中野が所属する8号車レース・パフォーマンスを含め、2台のエントリーだった。しかし今回は、リジェJSP2を走らせる25号車アルガルヴェ・プロ・レーシングが参戦。このリジェのシャシーがタイヤにピタリとマッチしたのか、25号車が圧倒的な速さを見せ、ポールポジションを奪われてしまう。

 一方、開幕戦にも参戦していた99号車ユーラシア・モータースポーツは、日本でF3〜スーパーフォーミュラを経験し、今年もWEC(世界耐久選手権)のLMP2クラスでチャンピオン争いの渦中にいる、リチャード・ブラッドレーを起用してきた。しかし中野はそのブラッドレーを抑えて予選2番手を獲得し、フロントロウからレースをスタートさせることとなった。

 決勝スタート前。セパン名物のスコールが襲来し、サーキットを濡らす。しかし、雨が上がると強い日差しが照りつけ、コースは急速に乾いていく……そしてスタート時にはコースはほとんどドライであり、各車スリックタイヤでのスタート。8号車レース・パフォーマンスのスタートドライバーは中野だ。

 中野がスタートする2番グリッドはアウト側。コースが乾いたとはいえ、このアウト側の路面の乾き方は遅く、中野はスタートでホイールスピンを喫してしまう。それでも1コーナーで、ポールポジションスタートのアルガルヴェ・プロ・レーシングのマシンを交わすことに成功したが、この間にブラッドレーがドライブするユーラシア・モータースポーツに先行されてしまう。ブラッドレーが新品タイヤでスタートした一方、中野は中古タイヤでの走行となった。これはチームメイトのニコラス・ロートウィラーに新品タイヤを譲るという戦略に基づいたものだったが、中野はタイヤをしっかり労りながら、ブラッドレーについていく。

「特に2スティント目は、多くのマシンがタイヤマネージメントに苦労していましたが、僕はペースをあまり落とすことなく走ることができました」

 中野は、自身の走りをそう評価する。

 序盤の2スティントを連続して担当した中野。一方、ユーラシア・モータースポーツは最初のピットインでドライバー交代を行い、その後のスティントで大きなタイムロスがあった。結局中野がマシンを降りた時には、後続に1分30〜40秒の差を築き、首位に浮上していた。

 中野に代わってマシンに乗り込んだロートウィラーは、中野が築いたリードを徐々に切り崩しながらの走行だったが、最後にはユーラシア・モータースポーツがトラブルでペースダウンして後退したこともあり、25号車アルガルヴェ・プロ・レーシングに46秒差をつけてチェッカー。開幕戦に続き2連勝を果たした。

 中野はレース後、今回の結果について、以下のように振り返った。

「急遽の参戦だったにも関わらず、出来過ぎなくらい上手くいきました。年に数回、しかも耐久レースしか走っていない僕でも、ブラッドレーとほとんど同じペースで走れたというのは、大きな自信になりました。(チームメイトの)ニコラスも安定していましたし、特に1スティント目は速かったと思います。次戦の出走は今のところ未定ですが、チャンスがあればぜひ乗りたいですね」

 ところで中野は、今月末の29日(日)に大阪で開催される『御堂筋オータムパーティー2015』で、御堂筋においてフェラーリF2003-GAのデモランを披露する。しかも大阪は、中野の地元である。

「すごく楽しみなイベントですよね。御堂筋は、僕が若い頃にご飯を食べに行ったりした、馴染みある土地なんです。そんな所で、しかも公道で、しかもF1マシンを走らせることができるんですから、本当に楽しみです。僕も、どんな光景になるのか、想像できませんよ。御堂筋をF1が走るなんて、二度とない機会かもしれませんから……ぜひ見に来ていただきたいですね」

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