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ル・マン/WECニュース

投稿日: 2010.04.15 00:00
更新日: 2018.02.15 19:24

【プロジェクト・ロイヤルオーク】ル・マン シリーズ2010第1戦 フランス 野田組、トラブルに苦しめられるも8位で完走、12ポイント獲得


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ル・マン シリーズ2010第1戦 フランス
野田組、トラブルに苦しめられるも8位で完走、12ポイント獲得
ミシュラン・グリーンXチャレンジでは総合5位獲得!

ヨーロッパ各地を転戦する世界最高峰の耐久レース「ル・マン シリーズ」。2010年の開幕戦が、4月9日(金)から11日(日)、フランスのポールリカール・サーキットで開催された。
参加台数は昨年の最終戦とほぼ変わらず41台。しかしこの開幕戦には昨年のルマン24時間レースで惜しくもプジョーに敗れたアウディの新型ワークスマシンR15プラスや、アメリカン ルマン シリーズのLMP2クラスにおいて2年連続の総合優勝を果たしたアキュラ(ホンダ)がフルサポートするStrakka Racing、更に今季から混走となったフォーミュラ・ルマンのマシンがエントリーするなど、話題の多い開幕戦となった。

野田英樹は、今年で3年目の在籍となるKruse Schiller Motorsport(チーム名:クルーズ シラーモータースポーツ、ドイツ 以下KSM)からエントリー。 エンジンの変更やシャーシのアップデートなどによる戦闘力向上により期待して臨んだ開幕戦であったが、新たに変更したミッションに練習走行からトラブルが多発。決勝でも長い時間をピットストップに費やすこととなったが、クラス8位完走でシリーズポイント12を獲得。また燃費の良さを競うミシュラン・グリーンXチャレンジでは総合5位となった。度重なるトラブルに足を引っ張られてしまったことを考慮するとベストを尽くしたレースであり、また悔しさも残る結果であった。

9日(金)晴れ、気温19°C。公式練習1回目の走行は今年から加入したケナードのマシン慣熟に時間を使う予定だったが、走行開始直後からうまくシフトダウンが出来ないトラブルが発生。幾度もピットに戻り調整をするがトラブルを解決することが出来ず、このセッションはわずか10周を走っただけで終了となった。
さらに続く2回目の走行時間となるが、インターバルの時間が短く、走行までに解決させることが出来なかった。ピットに留まったまま時間だけが過ぎていく。本来なら野田が明日の予選に向けてマシンのセッティングを行う予定だったが、結局ほとんどをピットでの修復作業に費やすこととなった。メカニックは走行終了後にミッションを分解し、ようやくトラブルの原因がミッションのアクチュエーターにあると突き止める。

10(土)晴れ、気温22°C。まず行われた公式練習3回目。昨日のミッショントラブルは良くなっていたが、完全に修復されてはいなかった。しかしここはメカニックの素早い作業でトラブルを解消、残り20分でようやくマシンを正常に走らせることが出来たが、この後に迫る予選に向けてマシンのセッティングを行う時間は無くなってしまった。
マシンのセッティングも出来ないままに臨むこととなった予選、アタッカーは野田が担当。苦しい予選のアタックとなったが、野田は現状でのベストパフォーマンスを見せ1分50秒913を記録。決して満足な結果ではないがクラス9番手から明日の決勝レースをスタートすることとなった。また、予選を走ったタイヤで決勝のスタートもしなければいけないため、本来であれば予選は短めに切り上げてタイヤを労わりたいところであったが、前日からほとんど走行が出来ていないため、20分の予選時間をフルに使い決勝に向けてのマシンセッティングも行った。

11日(日)晴れ、気温は昨日より少し低くなり17°C。決勝前のウォームアップ走行でもトラブルなどの問題はなく、8時間の長いレースを確実に戦うことで上位進出を目指そうとチームは結束、スターティングドライバーをジョンが担当することとなった。

1周5,791kmのポールリカール・サーキットを8時間走り続ける過酷な戦いのスタート、
フォーメーションラップに向かったジョンから突然の無線が入る。なんとここにきて再びミッションにトラブルが発生したというのだ。ジョンは冷静に症状を確認し、今はまだ軽度のものだと判断。ピットには戻らずこのままスタートすることを決めた。しかしジョンはスタートからトラブルを抱えたままの厳しい戦いを強いられることに。ジョンは懸命にマシンを走らせ続けるが、トラブルの症状は徐々に悪化し、2度のスピンをきたしてしまう。そしてスタートからまもなく1時間が経過しようかというところで、とうとうマシンをピットに戻してしまう。メカニックは再びミッションの修復に取り掛かるが、長いロスタイムは避けられない。マシンがコースに戻ったのは55分後、ステアリングは引き続きジョンが握る。少しでも遅れを取り戻そうとするジョンであったが、すぐにトラブルが再発。またしてもだましだましの走行を続け、スタートから2時間55分が経過した時点で野田に交代する。

ジョンからステアリングを譲り受けた野田は3スティント、3時間連続のドライブを予定していたが、やはり問題は解決しておらず、手負いのマシンで確実にチェッカーを受けるため我慢の走行が続く。しかし症状は悪化していく一方で、ついにはギヤが破損してしまう。このままでは走行することもままならないため、再度緊急ピットイン。またしても長いピットストップとなる。

ようやくピットから出たのはおよそ1時間後、その後はトラブルも解消し、またピット作業中にマシンのセッティングを多少変更したこともあり、安定したペースで周回を重ねていく。もしこのペースで序盤から走っていれば、十分上位に食い込むこともできただろう。しかしモータースポーツに「たら、れば」は通用しないのだ。野田は30分程走行し、チェッカーまでの残り2時間をケナードに託すこととなった。

スタートから合わせて2時間近くもピットにて作業を行ったため、すでにライバルたちとは大きく差をつけられてしまっている。ケナードは新品のタイヤにてコースインし、確実にチェッカーに向かって力走を続ける。マシンのトラブルも解消したことから、132周目にはこの日のベストラップも記録。ミスすることなく、スタートから8時間が経過した19時00分、KSM Lola Juddはクラス8位にてチェッカー、手負いの状態からシリーズポイント12を獲得。また、ミシュラン・グリーンXチャレンジでは総合5位と、マシンが本来持っているポテンシャルの高さも証明することが出来、ベストを尽くしたものの悔いの残る内容となった。
P2クラスは、アキュラ(ホンダ)のサポートでヨーロッパ ルマン・シリーズ初参戦となった、Strakka RacingのHPD ARX-01cが優勝。総合でもP1クラスの中段まで食い込む速さを見せるなど、アメリカで培ってきたその高い実力を証明して見せた。

野田英樹コメント
「開幕直前に参戦が決まったため、十分なテスト走行に時間が取れなかったこと、マシンの準備が万全ではなかったことが敗因です。今回のレースはミッションのトラブルに大きく足を取られ、満足な走りが出来たのは決勝終盤のわずかな時間だけでした。
チーム自体、技術や経験をもっと身につけなければ、結果を出すことは出来ません。次のベルギーに向けても更なる向上が今のチームには必要です。次戦に向けてはマシンパーツやエンジンパーツの変更が行われる予定なので、今回粘って走ることで獲得したデータを生かして、満足の出来る結果を残すつもりです。

また、燃費の良さを競うミシュラン・グリーンXチャレンジでは総合5位を獲得、トラブルが解消した後のラップタイムであれば十分にレースを戦える速さもありました。そういった点では多くの収穫を得られたレースでもあります。良い部分も悪い部分も、チームの現状がよく確認できたレースだったと思います。」