ポルシェは4日、スイスで開催されているジュネーブモーターショーの中で今季のWEC世界耐久選手権に投入する2台のレーシングカーのお披露目を行った。これにあわせて、LMP1クラスに投入される『919ハイブリッド』の技術的な詳細も一部明らかにされている。
今季、1998年以来16年ぶりに耐久レースの最高峰クラスに復帰するポルシェ。919ハイブリッドと名付けられた2台のマシンで、ル・マン24時間とWECに臨むこととなる。
その919ハイブリッドが、4日にジュネーブモーターショーの中でワールドプレミアされ、そのカラーリングが明らかとなった。ホワイトをベースにグレーのラインが施されており、上部から見るとラインは『PORSCHE INTELLIGENT PERFORMANCE』の一部をなしていることが分かる。
シャークフィンには、日本のDMG森精機のグループ会社で、発表会を前にチームのエクスクルーシブ・プレミアム・パートナーに就任したことが発表されたドイツのDMG森精機AGのロゴが掲げられた。
またこのお披露目に合わせて、マシンの技術的な詳細の一部も発表されている。「これまでポルシェが製造した中で最も高度なレーシングカー」(ポルシェAG マティアス・ミューラー会長)と称された919ハイブリッドのパワーユニットは、事前に報道されていたように2リッターV4直噴ガソリンターボエンジンで、運動エネルギー回生システムとともに、熱エネルギー回生システムも搭載される。ターボはシングルターボとなっており、エンジンの最高回転数は9000rpm、最高出力は約500馬力。また、モーターでは250馬力を発生する。
ハイブリッドシステムでは、ブレーキング時の運動エネルギー回生に加え、排気による熱エネルギー回生も採用。運動エネルギー回生はフロントで行われるほか、力行もフロントで行われる。これにより、力行時は一時的に4輪駆動となるという。
熱エネルギー回生については、「排気ガスの流れでジェネレーターを駆動し、排気ガスの熱エネルギーを回収する全く新しいシステム」、「新開発のエレクトリックモジュールによって、排ガスがジェネレーターにパワーを供給する」と簡潔に記されたのみとなっており、それ以上の詳細は明かされなかった。なお、回生された電気エネルギーは、リチウムイオンバッテリーに蓄えられる。
ポルシェはこの919ハイブリッドで、アウディ、そしてトヨタと争うことになるが、LMP1プロジェクトを率いるフランツ・エンジンガーは、「我々は2年半でインフラを構築し、チームを編成し、きわめて高度なレーシングカーを完成させた。ただ、トップを行くライバル達のレースにおける経験に多大な敬意を払っている。最初のシーズンの目標は単純明快で、それぞれのレースで完走し、競争力をつけることだ」と初年度の目標をやや控えめとも取れる表現で語っている。
また、この発表にあわせて、2台のマシンのドライバー編成についても改めて明らかに。2月末にTwitter上で明かされたものと同様、14号車がロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ、20号車がティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレー/マーク・ウエーバーという組み合わせが正式に発表されている。