第81回ル・マン24時間耐久レースは、チェッカーまで残り1時間あまりというところで、突然の雨がサーキットを襲い、表彰台圏内を争っていた7号車トヨタTS030ハイブリッドがクラッシュを喫するなど、残りわずかで大混乱となった。首位は2号車アウディR18 e-トロン・クワトロがキープしている。
時折雨が降ったり、晴れ間が差したりと変わりやすい天候の中迎えたル・マン24時間の終盤戦。残り4時間を切ったサルト・サーキットも、晴れたりコース箇所によって雨が降ったりと不安定なコンディションの中、いよいよ優勝争いに向けたレースが展開されていく。
そんな中、7号車トヨタは残り3時間を切りピットへ。中嶋一貴からニコラス・ラピエールに交代するが、終盤に向け7号車を追っていた3号車アウディが、7号車のピットインの間に前へ。これでオーダーは2号車アウディ、8号車トヨタ、3号車アウディ、7号車トヨタと変化する。交代した7号車トヨタのラピエールは、予選のような猛プッシュで表彰台圏内を取り戻すべくプッシュを始めた。
3号車アウディと7号車トヨタは、ルーティンストップの間にポジションを入れ替えていくが、残り2時間というところで7号車がピットインを終えると、その差は2秒! テール・トゥ・ノーズのバトルが展開されていく。しかし、ストレートスピードに優るアウディのパワーを活かし、3号車を駆るオリバー・ジャービスは、7号車トヨタのラピエールになかなか接近させない。そんな中、残り1時間15分というところで、突如サーキットの全周に渡って強い雨が降り始めた。
特に、公道区間は一気にウエット路面となり、滑りやすい路面を示すオイルフラッグが提示される中、3号車アウディを追い上げていた7号車トヨタのラピエールが、ポルシェカーブで水に乗ってしまいタイヤバリアにクラッシュ! フロントを大破してしまった。
直後、LMP2クラスの車両など、コース各所でスリックを履いたままのマシンがスピンやコースアウトを喫し、コース上やピットレーンは大混乱をきたした。すぐにこのレース11回目のセーフティカーが導入され、7号車トヨタはピットに戻ることこそできたが、表彰台圏内からは一気に遠ざかってしまった。
現在セーフティカー導入中で、2号車アウディが首位。1周目で8号車トヨタ、同一周回で3号車アウディがつけている。クラッシュした7号車トヨタはまだ4番手だが、あとわずかのうちに修復しなければ1号車アウディが前に出てしまう。
LMP2クラスは、OAKレーシングのモーガン・ニッサンがワン・ツー。G-ドライブ・レーシングのオレカ・ニッサンが3番手に続いていたが、残り1時間15分の雨によりトップを走っていた35号車モーガンはコースアウト。なんとかコースに復帰することができ、首位をキープしている。
LM-GTEプロクラスは、20時間を経ても白熱のバトルが展開されていった。92号車ポルシェ911 RSRと97号車アストンマーチン・バンテージGTEの間で、同一周回であるばかりかその差は秒単位。残り2時間半というところで、97号車アストンマーチンが先行した。
このまま終盤に向け接近戦が続くと思われたが、残り2時間を切ったところで92号車ポルシェを駆るリヒャルト・リエツがスピンを喫し、アストンマーチンとの差は拡大。97号車アストンが先頭をキープしていた。
しかし、突然の雨でほぼ全車がピットインしウエットタイヤに交換したため、順位は混乱。セーフティカー導入中に92号車ポルシェが首位、91号車ポルシェが2番手、97号車アストンマーチンが3番手となった。
小林可夢偉が残り2時間過ぎまでドライブしていていた71号車フェラーリが4番手につけていたが、残り1時間26分でトニ・バイランダーがドライブ中に、ミュルサンヌでコースアウト。73号車シボレー・コルベットに4番手の座を奪われている。