27、28日と走行が行なわれた、南仏・ポールリカールでのWEC世界耐久選手権公式テスト。残念ながらLMP1注目のニッサンGT-R LMニスモは不参加となったが、テスト前日の26日には、様々なチームのプレスカンファレンスや公式写真撮影などが行なわれた。チームや関係者も至るところで「久しぶり〜」という挨拶を交わし、WECのシーズン開幕に向け、現場の“熱”は一気に高まっている。そんな26日の舞台裏の様子を少しお届けしよう。
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10時30分、プレスカンファレンスで今季の体制やマシンの詳細を発表したトヨタ陣営。このカンファレンスには、アウディやポルシェの広報スタッフの姿もあった。右胸のモービル1のロゴが目を引く新たなチームシャツも新鮮に映る。会見後は新旧TMG社長や村田久武モータースポーツユニット開発部長、テクニカル・ディレクターのパスカル・バセロンらが報道陣に取り囲まれた。
その後、11時半頃から、ホームストレート上で2015年仕様のトヨタTS040ハイブリッドがお披露目された。シルバーのカバーに包まれ、メカニックの手で運び込まれたマシンは、報道陣の規制線から20〜30m離れたところでアンベイル。ドライバーや首脳陣も加わりフォトセッションが行なわれたが、マシンに近づくことはできなかった。
午後に入り、今度はポルシェのカンファレンスが行なわれた。まずはカンファレンスが行われマシンの概要などが説明された後、パドックのヘリコプター・パッドへの移動が促された。
このヘリパッドには黒いカバーをかけたマシンが3台並べられていたが、ドライバーと首脳陣がマシンの脇に立ち、1台ずつアンベイルされていく。黒と赤のル・マン用特別カラーを施したマシン(車両自体は13年のテストカーと14年仕様)がアンベイルされると、報道陣からも驚きの声があがった。その後、マシンに近づくこともでき、ディテールを観察したりドライバーにインタビューすることができた。ポルシェはこの発表のためだけにわざわざ2台のマシンにカラーリングを施してこの場に運んできたわけで、復帰2年目での“ル・マン獲り”に向けた気合いが感じられる発表会だった。
16時半、LMP2の注目マシンであるストラッカ・童夢S103のお披露目が行なわれたのは、ポールリカール名物・ストライプのカラーペイントが施された最終コーナーのイン側スペース。フロントタイヤとモノコックに挟まれた通称“グランドキャニオン”の造形のユニークさは随一で、多くのメディアがシャッターを切るとともに、LMP1チームのスタッフもじっくりと観察していた。
17時からは、この日一番のイベントである、マシンの公式写真撮影が予定されていた。撮影場所では、高所作業用のリフトに上ったWECのメディアスタッフと、地上のスタッフが無線でやりとりしながら微調整を繰り返してマシンを並べていく。各チームのメカニックも“全面協力体勢”で、少しずつマシンが綺麗に並んでいく。
結局この作業には25分ほどを要したが、その場の雰囲気はメカニックも含めて和気あいあい。自分のチームのマシンやライバルチームのマシンを多くのスタッフが写真に収めていた。
この全体の写真撮影終了後、LMP1の3ワークスのマシンはそのままホームストレート上に移動。トヨタからアンソニー・デイビッドソン、アウディからはロイック・デュバル、そしてポルシェからはマーク・ウエーバーが参加してのフォトセッションも行なわれた。
陽が沈みかけた18時半、この日の最後のイベントとなったのは、チーム・サード・モランドのプレスカンファレンス。場所はパドックに設けられたチームのホスピタリティ・テントだ。嵯峨宏紀を含む6人のドライバーと野田英樹ゼネラルマネージャーらチーム首脳が一同に会し、アットホームな雰囲気の中はじまったカンファレンスでは、首脳陣の挨拶に続いてテントの外で43号車がアンベイル。嵯峨いわく「39号車はいま、ピットでバラバラの状態」とのことだったが、ポールリカール初走行に向けて集中力を高めているといった様子だった。
このようにして終わったテスト前日。ピットでは参加する各チームがマシンの準備を着々と進めていた。