WEC世界耐久選手権第2戦スパ-フランコルシャンは4日、6時間の決勝レースが行われ、アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ/マルセル・ファスラー組1号車アウディR18 e-トロン・クワトロが優勝。アウディ勢が表彰台を独占する結果となった。
快晴に恵まれたWEC第2戦スパの決勝レース。6時間というレース距離ながら、スタートから激しく順位が入れ替わる。スタート直後、アンドレ・ロッテラー駆る1号車アウディR18 e-トロン・クワトロが軽くコースオフ。その間に2号車アウディが先頭に立ち、7号車トヨタTS030ハイブリッドが2番手へ。序盤は2号車がリードを広げ、その後方で7号車と1号車がバトルを展開。1号車が前に出て、2号車を追っていく。
ラップダウンが発生してくると上位の間隔は少しずつ縮まり始め、15周目に1号車が2号車をオーバーテイク。1号車、2号車とアウディが続き、7号車トヨタが3番手に続く展開となった。その中で、2番手を走る2号車は、18周を終えて最初のピットインを実施。このレースではアウディ勢がトヨタよりも短いスティントでピットをこなすことになり、ペースとしては、トヨタ勢にも勝機が見える序盤戦となった。
スタートから1時間を過ぎた直後、オー・ルージュでアントニオ・ピッツォニアがドライブしていたLMP2クラスの25号車オレカ・ニッサンが、トラブルが発生したかスピン、激しくバリアにクラッシュしたためセーフティカーが導入される。この時点で1号車アウディが首位、2号車アウディ、7号車トヨタ、8号車トヨタと続く展開となった。
しかし、1号車はSC明け直後、タイヤプレッシャーに異常を抱え緊急ピットインを実施。その後レースは燃費とタイヤ交換の周期で優位に立った7号車トヨタ、そして2号車、1号車の争いになっていく。レース中盤、7号車が少しずつリードを築き始めた。
スタートを務めたラピエールから中嶋一貴に交代し、優勝をうかがうペースを見せ始めつつあった7号車トヨタだったが、スタートから3時間40分というところで、リヤのブレーキ温度の警告灯が点灯してしまい、緊急ピットイン。ハイブリッド回生をリヤブレーキで行うが、そのワイヤーハーネスにトラブルが出たようで、ガレージインしてしまい、このトラブルで7号車は99周でリタイアを喫してしまった。
これでレースは1号車アウディ、2号車アウディの争いとなるが、終盤ロッテラーが快走。2号車との間にジワジワと差をつけ、開幕戦の借りを返す勝利を収めた。2位は2号車アウディが入り、3位は3号車アウディと8号車トヨタが争っていたものの、3号車が表彰台を獲得。アウディR18 e-トロン・クワトロがゼッケン順に表彰台を独占した。
4位は8号車トヨタとなり、5位にはLMP1のプライベーター最上位、レベリオン・レーシングの12号車ローラ・トヨタが入った。LMP2クラスは、序盤はOAKレーシングの24号車モーガン・ニッサンがレースをリード。ポールスタートの49号車オレカ・ニッサンと激しい争いを展開していく。2台のバトルは終盤まで続き、35号車ザイテック・ニッサンを加え同一周回で争う展開となったが、49号車が逃げ切り優勝を飾った。
井原慶子が乗り込んだガルフレーシング・ミドルイーストのローラB12/80・ニッサンは、井原が乗り込む前にトラブルが発生、合計12回のピットストップを強いられ、総合29位という順位になっている。
LM-GTEプロクラスは、序盤から3メーカーのワークスマシンによる激しいレースが展開されていくが、混戦の中で小林可夢偉/トニ・バイランダー組71号車フェラーリ458がレースをリード。51号車フェラーリが2番手に続くも、2台はポジションを入れ替え、51号車がレースをリードしていく。
途中、セーフティカーランを挟む段階で、3番手〜4番手につけていたアストンマーチン勢はピットインのタイミングを逸し、フェラーリ勢との差がついてしまうことに。さらに、首位の51号車フェラーリはペナルティを喫し、バイランダーから交代した小林可夢偉駆る71号車がトップを快走した。
しかし、最後にトップでチェッカーを受けたのは、ハイペースで遅れを挽回したジャンカルロ・フィジケラ/ジャンマリア・ブルーニ組51号車フェラーリ。98号車アストンマーチンが2位、可夢偉組71号車は3位となった。