MORIZO Challenge Cup第1戦
RALLY 三河湾 2026 Supported by AICELLO

14名が顔を揃えた開幕戦三河湾
奥井優介が0.7秒差の逆転初勝利

 2月27日(金)から3月1日(日)にかけて、2026年シーズンのJRC全日本ラリー選手権第1戦『RALLY 三河湾 2026 Supported by AICELLO』が、愛知県・蒲郡市を拠点に開催されました。JN-3クラス内で展開される「MORIZO Challenge Cup(MCC)」において、CUSCO Racingから参戦する奥井優介選手/藤田めぐみ選手がMCC初優勝を飾りました。

 今年で3年目を迎えるMCCは、若手ドライバーの育成とラリー競技の活性化を目的に、2024年からスタート。全日本ラリー選手権JN-3クラスの車両規定をベースに、改造範囲を狭めたGRヤリス/GRヤリスDATで腕を競い合う取り組みとして大きな注目を集めてきました。対象となるのは25歳以下(一部条件付きで28歳以下)の若手ドライバーで、2026年シーズンは全日本ラリー選手権全9戦で開催されます。また、全日本ラリー選手権とは別にMCC独自のポイントが付与され、1位~3位までの上位入賞者、最多SSトップタイム賞、最優秀女性ドライバー賞が表彰されます。

モリゾウチャレンジカップ 2026年JRC第1戦三河湾 ラリーレポート
開幕戦ラリー三河湾には14名がエントリー。モリゾウこと豊田章男会長を囲み、スタート前に記念写真

 開幕戦のラリー三河湾には、2025年の最終戦でMCC初勝利を飾った最上佳樹選手、2025年シーズン最優秀女性ドライバー賞を獲得した兼松由奈選手をはじめ14名がエントリーしました。2024年のJN-2クラスチャンピオン獲得経験を持つ三枝聖弥選手が初参戦を果たし、長尾綱也選手、松原周勢選手、平川真子選手、米林慶晃選手、岩堀巧選手、奥井優介選手、山口航平選手、HARU選手、及川紗利亜選手、伊藤はづき選手、今橋彩佳選手ら、さまざまなキャリアやバックグラウンドをもつ選手が、その腕を競います。

 三河湾のスペシャルステージ(SS・タイム計測区間)は、曲がりくねった低速区間から、2車線を使った高速区間まで、バリエーション豊富なターマック(舗装)路が特徴。今回は新たに、高速セクション中心の「Sanganesan Skyline」と、愛知こどもの国に設けられた「Aichi Kodomo no Kuni」が加わりました。

 2月27日の夕方、ラリーは蒲郡駅前で大観衆を集めてセレモニアルスタートを実施、翌28日から本格的な競技が幕を開けました。SS1で幸先よくトップタイムをマークした最上選手が、滑りやすい路面となったSS2とSS4も制し、2番手以下に4.1秒差をつけて午前中をMCC首位で折り返します。2番手はSS3でトップタイムを刻んだ奥井選手。MCC初参戦の三枝選手は慎重なペースを守り、19.6秒差の3番手、米林選手が22.1秒差の4番手で続きました。また、SS2では松原選手、SS3ではHARU選手がコースオフを喫して、この日の競技続行を断念しています。

 最上選手は午後も好調を維持してSS5、SS6と連続トップタイムを並べ、奥井選手との差を12.5秒に拡大。ところが、SS8で最上選手を5.3秒も突き放した奥井選手が、その差を3.1秒にまで詰めて迫ります。それでも最上選手は、この日を締めくくるSS9で奥井選手を0.1秒上まわるトップタイムでまとめ、合計タイム差を3.2秒として初日を終えました。18.6秒差の3番手は、SS7でトップタイムを記録した長尾選手。25.3秒差の4番手に三枝選手、32.5秒差の5番手に米林選手、1分17秒9差の6番手には、女性ドライバートップの兼松選手がつけています。

モリゾウチャレンジカップ 2026年JRC第1戦三河湾 ラリーレポート
蒲郡駅前で華やかに行われたセレモニアルスタートの様子

 初日に続きドライコンディションとなった最終日は、ハイスピードなSSが中心。この日最初のSS10では、奥井選手が最上選手に2.3秒差をつけるトップタイムで、3.1秒あった差を0.9秒にまで縮めます。奥井選手は今大会最長の10.08kmを走るSS12を、米林選手に続くSS2番手タイムで走り、最上選手をついに逆転。3.2秒差で奥井選手がMCC首位に立ちました。

 最上選手も負けじとSS14、SS15で連続トップタイムを並べ、奥井選手から首位を奪還します。首位を争うふたりは、わずか0.1秒差で最終SSへ。奥井選手はトップタイムの米林選手に続くSS2番手タイムで走り切り、最終的に0.7秒差で最上選手を再逆転。うれしいMCC初勝利を決めました。2日間をとおして奥井選手と緊張感のあるバトルを展開した最上選手が2位。3位には、米林選手との3番手争いを制した長尾選手が入りました。最優秀女性ドライバー賞は、平川選手が獲得しました。

 第2戦は4月3~5日に佐賀県多久市を拠点として行われる『SAGA RALLY NATIONAL CHAMPIONSHIP 2026 SUPPORTED BY BLUE BATTERY caos』です。SSの総走行距離が100㎞を超えるターマックラリーで、選手たちが見せるドラマにご注目ください。

■2026年全日本ラリー選手権第1戦ラリー三河湾 MCC最終結果

Pos.Driver&Co-DriverCarTime/Gap
1奥井優介/藤田めぐみCUSCO WM DL GR Yaris56’16.8
2最上佳樹/小藤桂一FIT-EASYZEALGRYARIS0’00.7
3長尾綱也/尼子祥一DL WPMS GRヤリス0’27.0
4米林慶晃/菅野総一郎KTMS NRS GRヤリス0’29.4
5三枝聖弥/木村裕介IMSF DL GRヤリス零号機0’53.8
6岩堀巧/相原貴浩一六RACNIG GRyaris2’08.8
7山口航平/春日美知子AQTEC-Wolf DL GR Yaris2’15.9
8平川真子/冨本諒TGR-WRJ GR YARIS DAT3’58.3
9及川紗利亜/山本磨美DL WPMS GRヤリスDAT6’24.8
10伊藤はづき/川名賢WinmaX CUSCO DL GR YARIS8’29.1
11HARU/宮本大輝CUSCO WM DL GR Yaris1h14’08.0
12松原周勢/市橋真由子RECARO NRS GRヤリス1h19’57.1
R兼松由奈/山下秀大東建託 ロッソモデロ GRYarisDAT⎯⎯
R今橋彩佳/中嶌アンリCUSCO tomica GR YARIS⎯⎯

■出場選手コメント

●奥井優介(MCC1位)
「優勝できて本当にうれしいです。最終SSは特に緊張しました。最上選手とこれほど僅差のバトルになるとは思っていませんでしたが、見ている皆さまにも楽しんでいただけたと思います。自分としてはもう少し差をつけて勝つつもりでしたが、最後に0.7秒差と知って驚きました。このシーズンオフはMCCの氷上トレーニングで、滑りやすい路面で練習することができました。特に今大会初日の滑りやすい路面では、その経験を活かせたと考えています」

●最上佳樹(MCC2位/最多SSトップ賞)
「0.7秒差で、ギリギリの展開で勝てなかったのは悔しいです。この2日間、本当に楽しくラリーを戦うことができ、今後につながる一戦になったと思います。初日のスタートから良いペースで走れましたが、『Mikawawan Skyline』などのハイスピードSSでかなり遅れを取ってしまいました。それでも、最終日午後の3SSは思い切って、これまでにないペースを出すことができました。結果は2位でしたが、今後に向けて成長できたラリーだったと感じています」

●長尾綱也(MCC3位)
「今回から新しいコ・ドライバーの尼子祥一選手と組むことになりました。ラリー中にペースノートの読み方などもアジャストしながら、コンビネーションを高めることができたと思います。北海道出身なので、特に初日のSSは三河湾の路面に慣れるまで時間がかかりました。2日目のハイスピードセクションでは、速度域の高さに恐怖を感じる場面もありましたが、まずはフィニッシュすることを目標にしていたので、無理をせず、クルマの挙動を感じながら走ることを心がけました」

●米林慶晃(MCC4位)
「自分の得意不得意が明確になった一戦でした。滑りやすく狭い曲がりくねったコースは苦手ですが、最終日の『Mikawawan Skyline』では、2回ともトップタイムを獲ることができましたし、ハイスピードなSSには自信があります。今後はさらに練習を重ね、苦手なところでは、しっかりとクルマのセッティングを合わせ込めるようにしたいです。同時に得意なSSは、さらに伸ばしていきたいです」

●三枝聖弥(MCC5位)
「今回はラリーにうまく合わせられなかった印象です。ブレーキパッドの選択を誤り、思うようにマシンを止めることができず、無理をしてブレーキングする場面がありました。とはいえ、今はまだMCC仕様のラリーカーに合わせ込んでいる段階なので、まずは無事にフィニッシュできて良かったです。さまざまな課題が見つかりましたので、今回しっかりと走り切れたことをポジティブに捉えて、次のラリーに向けて臨みたいと思います」

●岩堀巧(MCC6位)
「今回は厳しい一戦になりました。いくら攻めても上位選手とは差があり、どこでタイムを詰めるべきか悩んでいます。それでも、これまで経験のないハイスピードSSを走れたことは大きな収穫でした。また、チーム内のコミュニケーションなど、参戦したからこそ得られた反省点も持ち帰ることもできました。次戦の佐賀までに原因と対策を整理し、臨みたいと思います」

●山口航平(MCC7位)
「今回、以前よりも落ち着いてSSを走れた点は良かったと考えています。課題は、まだ自分のペースノートを信じ切って走れていないことが特にハイスピードSSでは顕著でした。見えた課題に対してしっかり練習し、今後同じような場面でも安定して走れるようにしていきたいです。今回、上位との差が明確になったので、次戦までに修正を進め、3位表彰台を目標に頑張ります」

●平川真子(MCC8位/最優秀女性ドライバー賞)
「まずはシーズン初戦を無事に完走でき、本当に良かったです。チームの皆さんが、シーズンオフに新しいクルマ作りに力を入れてくれたことで、本当に多くの学びがありました。最優秀女性ドライバー賞を獲得できましたが、SS10までの兼松選手のタイムには及びませんでした。次戦ではしっかりとタイムを争えるようにしたいと思います。それでもこの2日間、サービスでセットアップを変更したことで、今後に向けた方向性を見つけられたと思います」

●及川紗利亜(MCC9位)
「昨年経験した久万高原やハイランドマスターズとはまったく違うドライターマックを楽しみに、今回の三河湾のスタートを迎えました。ただ、初日のような曲がりくねったコースにはまだ慣れていないと実感しています。そこが自分のドライビングに関する課題であり伸びしろでもあります。MCCのトレーニングで学んだことを活かし、何ができるか考えていきたいです。今回はコ・ドライバーの山本磨美選手とともに、DAT車両をいかに速く走らせるかを考えながら走ることができました。次につながる一戦になったと感じています」

●伊藤はづき(MCC10位)
「今回のラリーでは新しい試みとして、GR-DATのドライブモードをオートからマニュアルモードに切り替えて、シフト操作にトライしました。失敗はあり悔しいですが、トライできたこと自体はポジティブに捉えています。また、これまで走ったことのない2車線の高速セクションも走ることができ、初日の滑りやすい路面から一転してドライビングを楽しむことができました」

●HARU(MCC11位)
「今回、抑えたスピードで走るなかで、これまで経験したことのないクルマの挙動を感じることができ、『こう動かしたらいい』というポイントをつかめた気がしています。学びの多いラリーになりました。一番の課題はブレーキングです。路面状況の見極めやブレーキングのタイミングなど、経験を重ねることで、リタイアせずに速く走れるようにしていきたいと考えています」

●松原周勢(MCC12位)
「初日のSS2で『もう少し攻めてみよう』と考えた直後、右コーナーのイン側の縁石に引っかかり、そのまま抜け出せずコースアウトしました。せっかくチャンスをいただいたのに、チームには本当に申し訳なく思っています。それでも、初めてのチームで多くのトライをさせていただけたことは、今後につながると考えています」

●兼松由奈(リタイア)
「SS11のフィニッシュで縁石にヒットし、冷却系統が壊れてしまい、リタイアを決断しました。初日はフィーリングが良くありませんでしたが、チームと相談してパーツを変更したことで、2日目は気持ちよくドライビングできました。今回は完走できませんでしたが、次戦は同じ状態でスタートから良いペースで走れそうです。また、サスペンションやマシンバランスに関して、多くのデータを収集できたことも収穫でした」

●今橋彩佳(リタイア)
「ペースノートの精度不足もあり、危ないと予想していなかったところでリタイアすることになりました。これまでは攻めすぎた結果リタイアしてしまうことはありましたが、今回は貴重な経験になりました。目標としていた絶対完走は叶いませんでしたが、4WDターボの習熟を含め、しっかりと経験を積めたと考えています。安全マージンを確保しつつ、攻めるべき箇所では攻める意識で走れた点も収穫でした。

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