MORIZO Challenge Cup第2戦
SAGA RALLY NATIONAL CHAMPIONSHIP 2026
SUPPORTED BY BLUE BATTERY caos

ウエットとドライが混在する難路
MCC参戦2年目、最年少の米林慶晃が初勝利

 4月4日(土)~5日(日)にかけて、2026年シーズン全日本ラリー選手権(JRC)第2戦「SAGA RALLY NATIONAL CHAMPIONSHIP 2026 SUPPORTED BY BLUE BATTERY caos」が、佐賀県多久市を拠点に開催されました。JN-3クラス内で展開される「MORIZO Challenge Cup(MCC)」において、KTMS&ヌタハララリースクールから参戦する、米林慶晃選手/菅野総一郎選手が初優勝を飾りました。

 今年で3年目を迎えるMCCは、若手ドライバーの育成とラリー競技の活性化を目的に、2024年からスタート。全日本ラリー選手権JN-3クラスの車両規定をベースに、改造範囲を狭めたGRヤリス/GRヤリスDATで腕を競い合う取り組みとして大きな注目を集めてきました。対象となるのは25歳以下(一部条件付きで28歳以下)の若手ドライバーで、2026年シーズンは全日本ラリー選手権全9戦において開催されます。また、全日本ラリー選手権とは別にMCC独自のポイントが付与され、1位~3位までの上位入賞者、最多SSトップタイム賞、最優秀女性ドライバー賞が表彰されます。

 第2戦佐賀ラリーには、開幕戦を制した奥井優介選手、最後まで勝利を争った最上佳樹選手、最優秀女性ドライバー賞を獲得した平川真子選手をはじめ、長尾綱也選手、米林慶晃選手、岩堀巧選手、三枝聖弥選手、松原周勢選手、山口航平選手、兼松由奈選手、及川紗利亜選手、今橋彩佳選手、伊藤はづき選手、HARU選手という14名のドライバーが顔を揃えました。

 これまでシリーズ唯一の九州ラウンドとして、佐賀県唐津市で開催されてきた『ラリー唐津』が、今年は同じ佐賀県の多久市へと拠点を変更しました。天山多久温泉TAQUAにサービスパークを置き、周辺の舗装路にスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間)が設けられました。SSは、ドライであれば高いグリップを持つ路面と、高速セクションと低速セクションが組み合わせられた、テクニカルなコースが特徴となります。

モリゾウチャレンジカップ 2026全日本ラリー第2戦佐賀 ラリーレポート
佐賀駅前で実施されたウェルカムラリーショー。多くのファンに見守られてゲートをくぐるトヨタGRヤリス

 4月3日(金)は、夕方からJR佐賀駅前にラリーカーを展示し、クルーによるラリーショーを実施。選手たちは多くのファンと記念撮影やサインを行い、交流を深めました。翌4日(土)朝には、JR多久駅でのセレモニアルスタートでラリーの幕が上がりました。前日夜半から降り続く雨が路面を打ちつけ、コンディションはフルウエットに。SS1はクラッシュの影響で赤旗が提示され、MCC勢には主催者から全車共通のタイムが与えられました。

 実質的なオープニングSSとなったSS2は、長尾選手が最上選手に0.4秒、米林選手に2.6秒差をつけるトップタイムをマーク。続くSS3では、米林選手が長尾選手をかわし、3番手から一気にMCC首位へと浮上します。2番手を走行していた最上選手は側溝にタイヤを落としてしまい、5番手まで順位を落としています。

 サービスを挟んだ午後のセクション、SS4でトップタイムを記録した長尾選手が米林選手を抜いてMCC首位を奪還。しかし、SS6では長尾選手を7.9秒突き放した米林選手が再逆転に成功し、長尾選手に1.5秒差をつけてトップで初日を走り切りました。49.2秒差の3番手に最上選手、57.6秒差の4番手に奥井選手がつけています。SS6では5番手につけていた岩堀選手がコースオフ、デイリタイアを余儀なくされています。

 前日から一転、晴れ間が広がった最終日。濡れたままの部分と乾き始める部分が混在する難しい路面状況において、MCC首位の米林選手がSS7、SS8と連続トップタイムをたたき出し、午前中のセクションを終えて長尾選手との差を16.6秒に拡大しました。SS7では奥井選手がSS2番手タイムをマークし、最上選手を抜いて3番手に浮上。しかし最上選手も力走を見せて、SS8では3番手を獲り返すことに成功、さらにSS9をトップタイムでフィニッシュし、奥井選手に11.2秒差をつけました。

 長尾選手はSS10でトップタイムを刻み、米林選手との差を詰めにかかりますが、米林選手は残されたSSもしっかりと走り切り、自身初のMCC勝利を手中に収めました。16.2秒差の2位に長尾選手、41.6秒差の3位に最上選手、59.2秒差の4位に奥井選手が続く結果に。7位で完走した平川選手が、前戦に続いて最優秀女性ドライバー賞を獲得しました。

 第3戦は、5月8日(金)~10日(日)に奈良県天理市を拠点として行われるターマック(舗装路)ラリー『YUHO Rally 飛鳥 supported by トヨタユナイテッド奈良』です。歴史を感じさせる奈良の古道を舞台に、若き選手たちが見せる熱い戦いにご注目ください。

モリゾウチャレンジカップ 2026全日本ラリー第2戦佐賀 ラリーレポート
難しい路面に挑んだ14組のクルー。今後の飛躍を確信させる一戦となった

■参戦ドライバーコメント

●米林慶晃(MCC1位/最多SSトップ賞)
「デビューからちょうど1年となる今大会で、初優勝を挙げることができました。これで気持ちよく初心者マークを外すことができそうです。開幕戦のラリー三河湾は本当に悔しい結果に終わり、多くの課題を持ち帰りました。特に課題として認識していた低速セクションに対しては、ペースノートを改善して、ラリー前に課題を潰してから今回の佐賀に挑みました。3月に行われたMCCトレーニングで得られた学びも大きく、その成果をしっかりと結果に残せたことを本当にうれしく思います」

●長尾綱也(MCC2位)
「2位でのフィニッシュとなりましたが、全体を通して思うようにいかないラリーでした。課題としては、マシンのセットアップ、ペースノート、コ・ドライバーとのコミュニケーションです。MT車でのウエット路面は初めての経験でしたが、路面状況が悪い部分では、ある程度ドライビングでカバーすることができていたと感じています。最終日は路面コンディションが回復したことで、セットアップでの差が顕在化しました。ペースノートやドライバーの技量でカバーできなかったことが悔しいです」

●最上佳樹(MCC3位)
「決して簡単なラリーではありませんでしたが、最終日の午後には奥井選手との差を広げることができました。ただ、上位の2台は非常に速く、自分としてはセッティングやペースノートに関して、反省点の多い一戦となりました。初日の段階で引き離されてしまいましたが、最後の林道ステージ2本では良いペースで走ることができ、結果として、3位表彰台とSSポイントを獲得できたのは、シリーズを考えると非常に大きな結果だったと感じています。また、以前に比べてライン取りが安定し、走りに余裕が生まれたことで、状況を考えながら走れるようになってきたと実感しています」

●奥井優介(MCC4位)
「これまでフルウエットコンディションのラリーを走った経験がなく、初日は出遅れてしまいました。トップ2台が良いペースで走るなか、最終日は3番手争いに加わることを目標に走りました。競った展開のなかで、低速区間で最上選手に遅れを取ってしまった点は今後の課題ですが、さらなるトレーニングを重ねて改善していきたいと考えています。3月に実施されたMCCトレーニングではサイドターンを重点的に練習しており、今回のギャラリーステージではサイドターンを多用する場面で最上選手を上回ることができました。トレーニングの成果を実戦で発揮できた点は、大きな収穫だったと感じています」

●松原周勢(MCC5位)
「前戦の三河湾では大きなミスがありましたが、チームの皆さんがクルマを万全の状態に仕上げてくれました。あらためてラリーに挑める環境を整えてもらえたことに感謝をしています。今回は率直に言って本当にタフなラリーでした。各SSで同じコンディションはひとつもありませんでした。霧の中を走行するのは初めての経験となりましたが、そのなかでペースノートの精度については、今後さらに改善すべき課題のひとつだと感じています。それでも、厳しい状況を走るなかでクルマの動かし方やセッティングに対する理解を深めることができた点は、自分自身にとってポジティブな収穫だったと捉えています」

●三枝聖弥(MCC6位)
「初日のウエットコンディションでは、クルマに自分のドライビングを十分に合わせ込むことができず、厳しい展開となりました。一方で、最終日はブレーキをはじめとした仕様変更を行ったことで良いフィーリングを得ることができた点は、大きな収穫だと感じています。MCCトレーニングでは林道での走行機会を得ることができ、セットアップも詰めるうえでも非常に有意義でした。このような走行環境を与えてもらえていることに、あらためて感謝していますし、そのなかでしっかりと学びを積み重ねていきたいと考えています。上位に近いタイムで走れる場面も増えてきているので、この方向性をさらに突き詰めていきたいと思います」

●平川真子(MCC7位/最優秀女性ドライバー賞)
「初日は雨となり、内容としては正直に言って悔しさの残る一日でしたが、ウエットコンディションのラリーは久しぶりだったので、貴重な雨での経験値を積み上げることはできたと思っています。セッティングだけでなく、ドライビングにおいても、どのようにすれば雨のなかでもより速く走らせられるのかを少しずつ掴むことができました。また、MCCトレーニングでは林道での走行機会を得て、多くのセッティングを試すことができており、今後のドライコンディションのラリーでも十分に活かせるものだと考えています」

●山口航平(MCC8位)
「初日の午後からは、自分としても調子が上がってきたと感じていました。その流れを受けて最終日は最初のSSから積極的に攻めていきましたが、ステージの終盤で右リヤをヒットさせてしまいました。コンディションも含め、どこで攻めてどこで守るのかという判断の難しさをあらためて感じています。一方で、ラリー直前のタイミングでMCCトレーニングを実施していただいたことで、減衰やブレーキのセットアップを事前に詰めることができ、クルマに慣れた状態で本番に臨めた点は非常に良かったと感じています」

●及川紗利亜(MCC9位)
「様々なコンディションを経験するなかで、だんだんとクルマの走らせ方について徐々に理解が深まってきました。タイムも上位の選手に少しずつではありますが、確実に近づいていると感じています。一方で、MT勢との間には依然として明確なタイム差があるので、一戦ずつ経験を積み重ねながら、GR-DATでどのようにすればより速く走ることができるのかを、引き続き考えていきたいと思います。また、タイトなコーナーにおける荷重のかけ方に関して、大きな気づきが得られました。次につながる内容の濃い一戦になったと感じています。MCCトレーニングで繰り返し走り込むことができ、そのなかで、どの程度のスピードを維持したままコーナーに進入できるのかを把握することができました。非常に良いトレーニングになったと感じています」

●兼松由奈(MCC10位)
「今大会は全体的にペースが上がらず、自分としても想定以上にタイムを伸ばすことができない厳しいラリーとなりました。どこに原因があったのかをラリー中に見極めきれなかった点については、悔しさが残ります。また、開幕戦でのリタイアに続き、応援してくださっている皆さまの期待に十分応えられなかったことを、申し訳なく感じています。次戦の前にMCCトレーニングの機会も控えているため、セットアップやドライビングについてチームと相談しながら課題解決に取り組んでいきたいと考えています」

●今橋彩佳(MCC11位)
「今大会は滑りやすい路面コンディションのなか、初日と2日目にそれぞれ一度ずつ側溝にはまってしまう場面がありました。危険な箇所ではより慎重に走り切る必要があり、その点については反省が残ります。それでも気持ちの面では冷静さを保ち、ラリーをフィニッシュできたことは前向きに捉えています。内容としては決して完璧ではありませんが、総合的には一定の評価ができる一戦だったと感じています。また、MCCトレーニングには本番車での参加ではありませんでしたが、4WD車両の挙動やコーナーの立ち上がりの特性を重点的に確認することができ、その経験を本番でも大いに活かすことができました。反省点と収穫の両方が得られたラリーだったと考えています」

●HARU(MCC12位)
「荒れたコンディションのなかでしたが、全SSを最後まで走り切ることができました。自分としても初めての経験となり、大きな達成感を感じています初日は雨となりましたが、チームにリクエストしたドライ寄りのセットアップで臨み、非常に乗りやすいフィーリングを得ることができました。この点は、自分自身の成長を実感できた部分でもあります。今大会の前に実施されたMCCトレーニングでは、ジムカーナコースで自由度の高い走行を重ねることができ、クルマの動かし方そのものを見直す良い機会となりました。その経験が、今大会での走行にも確実に活かされたと感じています」

●岩堀巧(MCC13位)
「今大会は、これまでにないほど難しいコンディションのラリーになりました。昨年の久万高原も難易度の高い一戦でしたが、それを上回る厳しさだったと感じています。1日目と2日目で大きくコンディションが変化するなか、思うようにアジャストしきれなかった点は反省材料です。特にペースノートに反映しきれていなかった泥への対応については、今後の課題として取り組んでいきたいと考えています。事前に行われたMCCトレーニングでは、何度も林道を走ることができ、ペースノートのリーディングやタイミングの修正に大いに役立ちました。また、広場でのサイドターン練習も実施でき、今回のようなギャラリーステージ対策として、その成果をしっかりと本番で活かすことができたと感じています」

●伊藤はづき(MCC14位)
「初日、2日目ともに、非常に難しいコンディションとなりましたが、今回はラリー本番の中で、GR-DATのMTモードを含め、さまざまなことを試せました。ギャラリーステージのジムカーナセクションでは、しっかりタイムを残すことができ、自身としても評価できる内容だったと感じています。今大会前のMCCトレーニングでは、サイドターンを中心に地道な練習を重ねてきましたが、その成果を本番でも発揮することができました。限られたステージではありましたが、多くの観客の前でかっこよく走り切れたことは、大きな収穫だったと感じています」

■全日本ラリー選手権第2戦佐賀
モリゾウチャレンジカップ最終結果

Pos.Driver&Co-DriverCarTime/Gap
1米林慶晃&菅野総一郎KTMS NRS GRヤリス1h26’54.6
2長尾綱也&尼子祥一DL WPMS GRヤリス16.2
3最上佳樹&小藤桂一FIT-EASY ZEAL GR YARIS41.6
4奥井優介&藤田めぐみCUSCO GRG水戸けやき台 DL WMヤリス59.2
5松原周勢&市橋真由子RECARO NRS GRヤリス1’49.8
6三枝聖弥&木村裕介IMSF DL GRヤリス 零号機1’51.1
7平川真子&冨本諒TGR-WRJ GR YARIS DAT4’51.2
8山口航平&春日美知子AQTEC-Wolf DL GR Yaris6’20.1
9及川紗利亜&山本磨美DL WPMS GRヤリスDAT7’42.9
10兼松由奈&山下秀大東建託 ロッソモデロ GRYarisDAT8’33.7
11今橋彩佳&槻島ももCUSCO tomica GR YARIS9’05.0
12HARU&宮本大輝CUSCO WM DL GR Yaris10’56.2
13岩堀巧&相原貴浩一六RACNIG GRYaris11’17.0
14伊藤はづき&川名賢WinmaX CUSCO DL GR YARIS14’38.7

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