そして旧友マルコ・マルティンの誘いにより17年ぶりのERC参戦となったヒルボネンは、ロングステージ中盤のブレーキフェードによるペースダウンを余儀なくされながら、MMモータースポーツのフィエスタR5を総合6番手に導く、さすがのドライビングを披露した。

 続く日曜レグ2もアル-アティヤの快走が続き、午前のロングステージを含む3SSすべてで、トップタイムを叩き出す。一方のルカヤナクも「(ERCのシリーズ戦を追っていない)彼と争うのは馬鹿げている」と、“ロシアン・ロケット”の異名らしからぬ全ステージ2番手タイムの堅実な走りでラリーを進めるも、SS10フィニッシュ目前、残り1km弱の地点でまたも今季を象徴するような悲劇に見舞われる。

 電気系を軸としたメカニカルトラブルに襲われた王者のシトロエンC3は、なす術なくパワーを失いステージ上でストップ。そのままレグリタイヤに。代わって2位に上がったのは薄氷の参戦だったイングラムで、同じくタイトルを争うウカシュ・ハバイ(シュコダ・ファビアR5)が電気系トラブルにより、午後のループで30%以上スロットルの明かない不具合で総合4位に終わったことにより、ポイントスタンディングで18点差のマージンを築くことに成功した。

 さらにインターコムの不調がダメ押しとなり2分以上を失ったハバイに代わり、ヒルボネンが最後の最後で3位表彰台を獲得。ブレーキ不調以外はなんのアクシデントもトラブルも抱えず、15回のWRC優勝経験が伊達ではないことを示したヒルボネンが「久々のステージラリーは、ものすごく楽しかった」と、フィニッシュランプ後に3位を確保することとなった。

 この後続のトラブルを尻目に、危なげない走りで首位フィニッシュを果たしたアル-アティヤは、最終的に3分5秒9という圧倒的なリードでキプロス通算6勝目の新記録を達成。昨年の最終ステージで逃していた記録更新を1年越しで実現することとなった。

「そう、2018年最後のステージでこの記録達成を逃していて、あのときは本当に悔しかった。でも、今はすべてOKさ。最後のステージは昨年を思い出して、本当に慎重に走ったよ(笑)。勝ててうれしいし、主催者に感謝したい。僕らはこのラリーが大好きなんだ」

 これで2019年のERCタイトル戦線は18点差の首位イングラムを軸に、伏兵ハバイとディフェンディングチャンピオン、ルカヤナクの三つ巴に。運命の最終戦ラリー・ハンガリーは、同国北部ニーレジハーザのターマックを舞台に、11月8~10日に決戦のときを迎える。

クラウドファンディングでエントリーフィーを掻き集め、ERC王座を狙うクリス・イングラムは、最大の結果を得て最終戦へ
2019年序盤からコンスタントに入賞を続け、タイトル戦線に踏みとどまるウカシュ・ハバイ
「最後のステージは昨年を思い出して、本当に慎重に走ったよ(笑)」と、余裕を見せた勝者アル-アティヤ

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