また、アロンソのコドライバーは元バイクレーサーでダカール優勝経験者のマルク・コマだった。コマは短期間ダカールのディレクターを務めており、何よりもルートの責任者だった。しかしアロンソはF1出身なのでペースに欠ける可能性があってもおかしくなかった。

 だがアロンソのきらびやかな体制に目をくらまされて、彼自身のミスを見逃すべきではないだろう。ダカールラリーでは数度のパンクはあって当然だが、サスペンションの損傷と、砂丘での着地の失敗は、彼の責任によるところがある。

 生じた問題は、その問題を起こしたミスより大きなものだったが、ミスは防ぐことができた可能性があった。いずれにせよ、元マクラーレンのドライバーであるアロンソが、ラリーを実際にフィニッシュしたという事実は印象的だ。正直に言えば、私はアロンソがイベント全体をこなせるだろうという確信はなかった。だが初出場でアロンソは才能を証明し、ダカールを完走したのだ。

 元々はダカールラリーに特別なイベントとして1回だけ参戦する計画だったにもかかわらず、ステージ優勝にかなり近づくことができたことから、アロンソは心中でダカールラリー挑戦に手ごたえを感じているだろう。

 2度のF1世界チャンピオンは、おそらくダカール再挑戦についてすでに考えているだろう。当然ながらアロンソの2度目の参戦は、楽しみながら数日は良いパフォーマンスを見せるなどというものではなく、いっそう高い目標になるはずだ。2021年か先の将来にアロンソがダカールに戻ってくるのなら、トップで争うことが、彼が設定する唯一の目標になるだろう。

 多くの人々は、ときに気難しさを見せるアロンソが、素晴らしい扱いをされることを期待して、自分と友人たちが楽しむための気軽な遊び場を見つけようとしていると思っている。その代わりに我々が目にしたのは、学び、改善し、困難を乗り越えて戦うことを求め、自分のマシンを修理しなければならないときには、自らの両手を汚すドライバーの姿だった。

 あまり知られていないことだが、アロンソは子供の頃、ドライビングよりもメカニカル面により興味を持っていたのだ。もちろん時とともに物事は変化したが、情熱の一部は今も明らかに残っている。しかし、結局のところこの経験にはそれだけの価値があったのだろうか?

 少なくともアロンソは3つの物を、トロフィーの代わりとして家に持ち帰るだろう。それはダカールラリーの完走者メダル、マルク・コマのヘルメット、そしてアロンソの記念館に展示する予定の、自身がドライブしたトヨタ・ハイラックスだ。

 勝利ではないかもしれないが、マシンにはトロフィーよりも実際に経済的価値があることを考えると愉快なものだ。そして一応記しておくが、ジャッキー・イクス自身はすでに言うべきことを言っている。

「戻っておいでよ、フェルナンド。君にはダカールラリーで優勝する才能がある」

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