そのなかで難しさを感じる箇所にアンダーステアを挙げた勝田は、そこが「一番苦労した部分」であると述べ、「やはりセンターデフがなくなったことによってターンイン時の純粋な挙動といったところ、とくにコーナーのターンインから中のところでのアンダーが非常に強くなってしまったところがあるので、そことの戦いがすごく難しかったというか、ずっと苦労していました」と続けた。

「最終的にそのアンダーを消すことは可能で、(実際に)消すことができた日もありました。ですが、そうすると別のネガティブが部分が出て、全体的なグリップが下がってしまったりだとか、そういうことにつながっていきました」

「そのあたり、今まではセンターデフで色々とマップで解消できた部分が(ラリー1カーでは)できなくなってしまったので、ドライビングで合わせていくところと、クルマで合わせていくところにより幅が増えたように思います」

 なお、新しいハイブリッド車の特性として、コーナーの立ち上がり部分ではアンダーステアからオーバーステアに転じる方向にあるといい、とくにダウンフォースが得られにくいヘアピンなどではマシンコントロールが難しくなっているという。

「アンダーステアがとても強い傾向になってしまったのですが、アンダーが強いのはコーナの進入から中盤までで、立ち上がりでアクセルを踏んだときはリヤが重いというところと、(ハイブリッド)ブーストが『ガン!』とかかっていくので、どうしてもスナップオーバーステアのような感じでリヤが出やすくなる挙動が非常に多かったです」と勝田は説明する。

「それによってヘアピンなど、今までは全然スピンをするような場所ではないところで回ってしまったりとか、そういうことが今回は2回あって、さらにもう2回スピンしそうになった感じのところがありました」

「(舞台が)モンテカルロということで、コンディションもコーナーごとにかなり変わっていくため、それももちろん影響していると思いますが、クルマとしては少しピーキーと言うか、車重のバランスとブーストのかかり方というところが(前年までのクルマとの違いとして)顕著に出ていたんじゃないかなと思います」

 事前のテストでは乗る機会がそう多くなかったことから、「最初はそこまでスピードを出せないのではないか」という不安があったという勝田。しかし、木曜のトラブルが解消した金曜は、ハイブリッド車の特性を学んでいる最中でありながら、オジエと1.6秒差の好タイムを記録するなど自身の期待値を上回る走りができ、最終日にはトップ3タイムもマーク。最終的には「新しいクルマに対しての理解が非常に深まった、良い1週間だったように思います」と開幕戦を総括した。

トヨタGRヤリス・ラリー1は先代のトヨタ・ヤリスWRCに比べてアンダーステアが非常に強くなっているという
トヨタGRヤリス・ラリー1は先代のトヨタ・ヤリスWRCに比べてアンダーステアが非常に強くなっているという

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