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ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2022.11.11 16:02
更新日: 2022.12.29 22:03

【いざ、ラリージャパン2022】注目の参戦マシン紹介/Vol.3『トヨタGRヤリス・ラリー1』

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ラリー/WRC | 【いざ、ラリージャパン2022】注目の参戦マシン紹介/Vol.3『トヨタGRヤリス・ラリー1』

 そしてMスポーツ・フォード陣営と同様、リヤバンパー部に配置された熱交換器には、大型ファン1基のプーマに対しわずかに小ぶりのサイズながら“2基掛け”とするなど、冷却性能の確保には充分以上のマージンが持たされている。それも復帰参戦初期のヤリスWRCが、メキシコ戦など気温の高い高地イベントで熱害に苦しんだ反省点を反映したもの……とも考えられそうだ。

 そうした独自性は空力面やサスペンション構成にも見受けられ、先代ヤリスWRCでは大型フロントカナードやリヤディフューザー、幾重にもフィンを積層したホイールハウス・アウトレットなど特徴的なデザインを数多く備えていたが、コスト抑制の一環でそれらの造形が禁止されたことも受け、ボディ全体でエアロダイナミクスの性能向上を狙っている。

 一見して造形の異なるリヤウイングは、ライバルのように翼端版両脇にミニウイングを設定せず、大型のアッパー&ロワで構成された2枚翼とし、そのうえで中央2枚は支持剛性を“担わない”バーティカルフィンにより、車体にヨーアングルがついた際の安定性とダウンフォースを確保する。

 同じく先代ではトレンドに則して傾斜搭載とされていたダンパー類も、最大ストローク値が270mmに規制された点も考慮し、アップライト側下端接続部を車軸中央に設定してほぼ直立の配置に。これにより摺動抵抗からの発熱→熱ダレを防ぐ方針にシフトした。

 そのうえで、最低地上高を“攻める”ことが可能なターマック戦やフラットサーフェースの高速グラベルなどでは、車両全体に前傾角をつける“レーキアングル”を採用。リヤに重量物が集中し、旧規定より慣性モーメントが大きいデメリットは認識しつつ、前後アクティブ&センターデフが禁止されてよりアンダーステア傾向が強まった新規定において、フロント側のダウンフォースを積極的に取りにいく。

 また回生ブレーキによる蓄電はもちろん、プラグインハイブリッドとしてサービスパークでの充電も可能な共通ハイブリッド機構では、ハイブリッドブーストの出力側となる“デプロイ”が3種類、回生側となる“リジェン”にも3種類のマップが登録されるが、そのマッピングにはWEC世界耐久選手権でのLMP1-H、そしてLMHハイパーカーの開発でノウハウを蓄積してきたTGR-E(TOYOTA GAZOO Racingヨーロッパ/旧TMG)の知見も大いに活用されたという。

 今季はTOYOTA GAZOO Racing WRT(ワールドラリーチーム)から3台、そして勝田貴元のチームであるTOYOTA GAZOO Racingネクスト・ジェネレーションの合計4台が参戦する。直近のスムースグラベル戦ニュージーランドでは、新世代エースのカッレ・ロバンペラが優勝を飾って自身の史上最年少王座に華を添え、続くスペイン・カタルーニャでは“8冠”の支柱セバスチャン・オジェがラリー1初勝利でマニュファクチャラーズタイトルも決めるなど、負けられない母国決戦ラリージャパンには王者凱旋で臨む。

リヤバンパー部に配置された熱交換器には、電動ファン“2基掛け”とするなど、冷却性能の確保には充分以上のマージンが持たされている
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フィンランドではエサペッカ・ラッピがスクリーンを失う転倒を喫するも、ゴーグル装着でステージを走破。堅牢さと信頼性も兼ね備える
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