シミュレーター:昨年末に最新型が新たに稼働。2基体制に



シミュレーターについては以前こちらでレポートしているが、取材にあたっての守秘義務契約により残念ながら詳しく記すことはできない。ただ、一貴副会長が言う「ふたつ目」の最新シミュレーターは、長年使ってきたものとは大きく異なるものであり、そこではWECチームのドライバーとエンジニアが作業に取り組んでいた。こちらは昨年末から稼働を開始したという。
一方、以前からある高床式のシミュレーターでは、WEC・LMGT3に参戦するアコーディスASPチームの面々が作業を行っており、取材時は中山雄一選手の姿もあった。シミュレーターが増えたことは、ヨーロッパのトヨタ/レクサス系チームにとっても大きなメリットがあるに違いない。
トラックパーキング&ストレージ:タイヤ交換練習専用マシン&スペースも



ファクトリーの裏手には非常に広大な駐車スペースがあり、大型のトラックが次なるレースに向かうための準備を進めていた。運転を担当するトラッキーもまた重要な任務を背負っており、そのひとりであるシュテファン・ライシェルさんの話はとても面白かったので、こちらの記事も是非読んでいただきたい。
トラック駐車スペースの近くには、トラッキーが荷物を積み込むためのスペースもあり、倉庫にはフライアウェイイベント用の機材も準備されていた。取材時はブラジル戦向けのコンテナに積むための機材が並んでおり、ブラジル戦後は日本の富士へと向かう機材もあるようだ。
そして、倉庫の片隅にはGR010ハイブリッドの実車がポツンと佇んでいた。その場所はメカニックたちのタイヤ交換トレーニングを行う場所であり、彼らは一日の仕事の最後にここでトレーニングを行ってから家路につくことが多いという。
メカニックたちの仕事ぶりについては、日本人メカニックである木村祥吾さんのインタビュー記事も是非見ていただきたい。
アッセンブリー:トランスミッションなどを組み立て


その後は、トランスミッションなどの組み立て作業を担当するサブアッセンブリー部門へ。WECマシンのカウルによって隠された、普段は絶対に目にすることができないパーツを扱う部門だけに、撮影はほぼ許されなかった。それでも、こうしてメディアに公開してくれるだけでもあり難いし、とても勉強になる。
WECワークショップ:多い時には4台のGR010ハイブリッドが並ぶことも




そして最後に、ついにたどり着いたのはWEC車両のメインワークショップ、『ビークル・アッセンブリー・デパートメント』である。非常に広々としていて、天井も高いこの施設はとにかくクリーン。取材時には2台のブラックのGR010ハイブリッドが整備作業をすべて終えた状態で迎えてくれた。
「テスト車両も含めると、多い時にはGR010ハイブリッドが4台並ぶこともあります。また、ハイパーカーだけでなく一般のお客様用のクルマを組み立てたりもします」と一貴副会長。WECのピットと同じように、ハイブリッドシステムがアクティブな時はランプがレッドに点灯し、スタッフの注意を喚起するシステムも取り入れられている。
ル・マン後に教えていただいたのだが、実はこの時、メインのアッセンブリーブースとは異なる場所で、ル・マン専用のレッド&ホワイトのカラーリングが施された7号車(通称『霜降り号』by小林可夢偉チーム代表)も組み立てられていたようだ。
今回の取材ではほとんどすべてと言っていいほどの施設を見ることができたが、我々が案内されなかったところでは、数々のコンフィデンシャルなプロジェクトが進んでいるに違いない。

