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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2020.09.19 13:20
更新日: 2020.09.19 15:12

「何もなければ勝てる自信はある」と可夢偉。一貴はマシンに疑問符【ル・マン24時間決勝プレビュー】

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ル・マン/WEC | 「何もなければ勝てる自信はある」と可夢偉。一貴はマシンに疑問符【ル・マン24時間決勝プレビュー】

 タイヤが2セット使用可能なハイパーポールにおいて、最初のセットではまずPPを確実なものとし、状況によっては2回目のアタックで自らのもつコースレコード(3分14秒791/2017年)更新を狙うつもりだったと可夢偉はいう。

「1回目は、クリアラップを取るためにセッション開始前からピットエンドで待つので、タイヤの温度が一度落ちてしまうんです。なので、(1周クールダウンを挟んで)2周のアタックをしました」と可夢偉。

 2周目で3分15秒2をマークしてレベリオンを上回った可夢偉はピットイン。マシンの調子も良く「行けそう」となったことから、2セット目のタイヤを履いてレコード更新を狙いにコースへと戻った。燃料はアタック1周分しか入れなかったという。

「セクター2までコンマ7秒くらい上がってたんですよ。しかもちょっとトラフィックがあった状態で。そう考えるとレコードを破れるチャンスはあったのですが……」

 だがこの周のテルトル・ルージュでホワイトラインカット(トラックリミット違反)があったことがオフィシャルよりすぐに通告され、計測を完了してもタイムが抹消となることが確定したため、可夢偉はアタックを中断してピットへと戻った。

「今回、レコード更新のチャンスが充分にあったけどそれを獲れなかったというのは、自分としては残念。ただ、それだけのパフォーマンスがあるということを、エンジニアや見ている人たちに理解してもらえたのは良かったです」

 決勝に向けたマシンの状態について可夢偉は「僕らも正直、満足いくクルマではない。ただ、そのなかでちょっとずつちょっとずつ良くなっていってて、いま8号車にプレッシャーを与えている状態です」と説明する。

「彼ら(8号車)の方が走り出しが良かったから『ベースがいい』と思い、そこまでいじってなかったんじゃないですかね。で、僕らが調子を上げてきて、プレッシャーを感じ始めて、彷徨いだしてるのかな……という感じはあります」と可夢偉は8号車陣営の現状を分析している。

2020年もトヨタはル・マンにおける“定位置”である最終コーナー寄りにピットを構える。
2020年もトヨタはル・マンにおける“定位置”である最終コーナー寄りにピットを構える。

 走り出しの厳しい状況から、短時間でPPを獲得できるところにまでクルマを仕上げた可夢偉と7号車のクルーたち。「何もなければ勝てる自信は、正直あります」と可夢偉は静かに語る。

「でも、何か起こるのがル・マン。そういうときにどうするのかを考えなければいけません」

 今回のスケジュールならではの懸念ポイントとしては、過密日程による疲労の蓄積が挙げられる。疲労は思わぬミスの原因ともなりかねず、それはドライバーだけでなく、チームスタッフについても言えることだ。

「僕らドライバーでさえ、5時間しか寝てないんです。昨日(木曜)の夜ミーティングが終わったのが2時で、今朝は『8時に集合ね』ですから」と過密スケジュールの実情を訴える可夢偉。

 この件については一貴も「木曜から金曜にかけて、すでに1レースしたくらいの疲れはあります」と語っている。

 例年金曜日は走行はなく、記者会見やパレード等への出席は必要ながらも、330km/hを超えるストレスにさらされることのない1日を、ドライバーは享受することができた。だが、2020年は心身ともに回復にあてられる時間が少ない。

 マシンのセットアップに時間的制約があるだけでなく、ドライバーやスタッフのフィジカル&メンタルも、この2日間で相当に追い込まれた状態となったまま、第88回ル・マン24時間レースは決勝日を迎える。雨も予報されており、いつも以上にタフな24時間が参加者全員を待ち受けている。


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