サイドから眺めるとフロントフェンダーの前面は大きくラウンドしているのが分かる。フロントの大きな開口と合わせ、どちらかというとドラッグ低減よりもダウンフォース増を意識した処理だ。TS050の最終仕様はリヤビューミラーをフロントフェンダーと一体化させていたが、GR010ハイブリッドはコンベンショナルなウイングミラーを採用している。

 下部をえぐって空気の流路を確保した処理はTS050のDNAを強く感じる部分だ。そして、その後方に注目である。リヤタイヤの前方に開口部があり、ディフューザー上面に向けて貫通している。

 これはTS050の17年仕様で採用し、18-19年仕様まで使い続けた処理だ。サイドポンツーン側面に沿った空気をディフューザー上面開口部に向けて流すことで、ディフューザーの効果を高めるのが狙いだ。

ボディサイドからリヤディフューザー上に抜ける空気の流路が確認できる
ボディサイドからリヤディフューザー上に抜ける空気の流路が確認できる

 その流れでリヤに目を移すと、ディフューザー上面開口部は大きく、リヤカウルが大きく跳ね上がっていることが推察できる。フロントと同様に、ダウンフォースを意識した処理だ。LMHの技術規則ではディフュザーを「フリー」と規定している。LMP1時代の終盤は最大幅1000㎜、最大高さ150㎜に規定されていた。

 GR010ハイブリッドのディフューザーはどう考えてもそれより大きく(とくに高さ方向)、迫力満点である。追い抜き時の後ろ姿で鮮烈な印象を残しそうだ。

リヤウイングのスワンネックステー、フェンダー後端の処理、ディフューザーなど見どころの多いリヤエンド
リヤウイングのスワンネックステー、フェンダー後端の処理、ディフューザーなど見どころの多いリヤエンド

 TS050はリヤフェンダー後端をストンと裁ち落とした形状としていたが、GR010ハイブリッドはラウンドした形状としている。これも性能ではなく、市販車との共通性を意識した結果だろう。

 リヤウイングはシャークフィンで支えず、スワンネック型の2本のステーで支持する構造。エンジンの吸気を取り込むルーフ上のインダクションポッドはTS050より大型だ。ルーフの前端ではなく後端にあるのは、市販車との関連だろうか。空気取り入れの効率を高めるため、ルーフにガイドを設けているのが目を引く。

1月15日発売のauto sport No.1545誌面。当記事で紹介した空力解説のほか、開発者やドライバーへのインタビューなども掲載している
1月15日発売のauto sport No.1545誌面。当記事で紹介した空力解説のほか、開発者やドライバーへのインタビューなども掲載している

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